涼子、溶解
ゴースト(無月野青馬)


崩れる
崩れ落ちる
私の
下半身を見ている


夜遅く
変容する
誰からも知られない場所で
私の過去、現在、未来
誰にも知られない場所で


蛙が溶ける
私の隣で
鴉が墜ちる
私の隣へ
誰にも知られない場所で
誰にも知られないままで


私の周りには何も無い
本質を持つ者を知らない
寄り添って居るのは虚無の体感
寄り添って来るのは虚無の体現
肉体を
動かさないから
必要の無い骨が溶ける
私を支える私が溶ける


末期の私は
欲望の終わりの場所へ


寂しさを終わらせたつもりでも
欲望を終わらせたつもりでも
未だに粉飾しようと働く
無意識の業


誰にも出逢わない
誰にも知られない
消失点に
私はいる
水が流れるように
風が吹くように
私は流れ、私は吹かれ
此処に来た
喜びは無い
悲しみは無い
新しい亀裂の生誕を知ることもない
私の崩落と、戻らない変容を眺めるだけ
空を渡る暗黒竜がまた鴉を攻撃している
また蛙を踏みつけている


私の隣で
蛙が溶ける
私の隣へ
鴉が墜ちる
誰にも知られないまま
私は溶ける
星を見ながら
私は溶ける
私の隣で
私の過去、現在、未来が溶ける
私の過去、現在、未来が終わる
誰にも知られない場所で
誰にも知られないままで
幸せを
幸せを感じる

という一形態
涼子という名前を持ち
その名と共に消え失せた一人格





自由詩 涼子、溶解 Copyright ゴースト(無月野青馬) 2011-02-18 20:01:00
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