* ハブラシ
藤鈴呼

★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・°

ホストの言う台詞を間に受ける程に
楽しく酔っ払ってしまえていた彼女を
心底 羨ましいと思った。

どうしても 他人の台詞の裏を
垣間見たくなってしまう
俺の性格は
直らないらしいから

*

そう言えば アイツはもう 
引越しをしたんだろうか。

秋になったならば 
広いお部屋に 引っ越すだなんて
抜かしていたオマエは。

どうせ ダンボールの箱に埋もれて 
眠ってしまっているんだろう

今日俺が 
あそこのスタンドに寄れなかったのは 

あの時のことを 
思い出したくなかったから

*

結婚一周年の夫婦。
ニ組の カップル。

やはり 空気は 一緒。
どうしても あてつけられてしまう

*

何を求めたから こんなに悲しくなってしまったの?
何を求められなくて こんなに切なくなってしまうの?

みみっちいばかりの言葉を並べ立てて
あの日 アナタを  困らせた

*

久々に聞く有線は
聞いたことのあるような曲はあっても
全然 嗜好の違うものと なっていた。

音量も 低音で
どうしてしまったんだろう 最近のボクは

*

大きな松茸。
香りは こおばしい。

焼いて 一緒に 食べたかったんだ 
ホントは君と

*

アイツは 私の部屋に来て
彼の歯ブラシを 憎憎しげに 見詰めた。

彼女は 私の部屋に来て
彼の歯ブラシを 不思議そうに 見詰めた

*

稲妻の中に 光る旋律が有る
木々の騒めきが 心底 響き渡る

「あなたは いくつ?」 闇の中で 微笑う.
「精神年齢は いくつ?」 誰にも 分からない。

心のトゲを 華が 潤す。
潤されたココロを 雨が かっさらってゆく.

光る モーターボート状態

自分の命が尽きるのは 
こんな瞬間なんだろう

記憶の中に光る嘘は 蛍の戸惑い
チカチカ光るランプは 遠い DNAの果てに

微笑 残しながら 又 笑いこける自分.
暗がりの中で 光り出す 自分.

自分の命が果てるのは 
こんな瞬間なんだろう

眩きも出来ぬ シャワーの中で 
君の言葉 信じられず

瞬きも出来ぬ パズルの中に 
君のピース 存在しない

だから 誰もが 頷く様な 言葉を
君へ向かって 語りかけただけ.

その行為に 意味は有るか.  
必要性は?

誰にも 分からない・・・

*

あの時 届いた楽曲は 
光る キミの上

何故か 君と唄った日の事を 思い出す

その歌声は 煙突を駆け登り
今は 何も 思えないのに

透明な糸を つむぐ様に
君の姿を 今でも 捜している.

君が 例えば 僕へ向かって
微笑いかけても

その笑顔 
どうして この目に 映るというのだろう

君の魂が カタチを持って 現われたとして
非力な チカラで 
どうして支えられるのだろう

君が告げた絶望は
今 此の脳ミソの中に絡み付いて

離れないのは あの日の君の 幻影
面影なんて クソっくらえと思う

君が 存在(い)なければ 意味が無い
そこいらの石ころに語りかけても 
何も 始まらない

雨が全てを包んで  
雨が 全てを 流して
雨が 全てを 覆って  
雨が       全てを 無へ返す.

*

● 二 人 の 青 年 ● 

笑いの零れて来るこの時間は
ティータイムで
お馴染みのナンバーに埋もれて
君を 捜しに行こう

カセットデッキに隠された真実
繰り返すだけのメモリーは 
何の意味も無い

その薬箱の中に 
愛は 宿っているか

くしゃみをひとつ残した青年は 
言い残した

笑えない 
哀という文字が 光っているだけだ

僕が 宇宙飛行士になったなら
君を イチバンに乗せてやるなんて 
君 言ったっけ

記憶の渦は 
僕を 歯がいじめに揺らして.

腐りかけたブランコが 
唯だ揺れる公園で

口づけを交わし合った 二人の青年は 
目を閉じた.

僕達の未来は 
誰も 祝福してくれやしないと.

めんどくさい手続きなんて要らないから
そのタオルと歯ブラシは 
捨ててしまわないでと

既に黄色化した飯を
平らげる事も許されず

二人は 向き合って 目を閉じた

僕達のコスモスが 
あの火星に存在するのなら

宇宙船が未完成でも 
すぐに飛び立てるのに

ロケットの軸が 見付からないんだと
騒ぐ

エンジンルームは 水びたしになったと 
騒ぐ

日本で通用しないYesを握り締めて
君は今 宇宙へこの身を 削りに行く.

★,。・::・°☆。・:*:・°★,。・:*:・°☆。・:*:・°


自由詩 * ハブラシ Copyright 藤鈴呼 2011-02-08 01:52:23
notebook Home 戻る  過去 未来