小豆粥
藤鈴呼

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* ちょこなんと おめでたい場に 小豆粥

小正月の朝、食卓に昇るとは
知らなかった

調べてみると 文字通り 
小豆を入れて 粥にするらしい

その話をしながら 赤飯って美味しいよね、と
会話は弾む

ラグビーボールの如く 
少しずつ 角度を 変えながら

冷凍庫に 餅が残って居たので
食すことにする

小正月だもの
小さな お正月だもの

何となく 餅って雰囲気で 良いじゃない?
力うどんにしようって アイディアに
こくんと頷いたまま 夕寝した

起き上がって 尋ねる
お腹、空いた?

ちょっと 仏頂面にも思えた 表情と
憮然とした風に聞こえた うんの声

のっそりと起き上がり トースターで餅を焼けば
真っ黒に 焦げついている

貴方の里で 母さんが毎年 ついてくれる お餅
一度目に 焼いた時は 雑煮風にしたけれど
何だか 焼き方が足りなくって 固めのまんま

一度 つぶれてから もう一度 膨らむまで
入れておくのが 良いんだよ

そう 聞いたから 実践したのだけれど
一度も つぶれないよ ねぇ

でも 気分だけは つぶさないように
二人で 協力して 作った
ちょっと 遅めの 夕ご飯

ようやっと ありつけた 力うどんと 笑顔の夕べ

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空腹を 満たすように
私達は 食べます
沢山の 情報を
脳に 詰め込んで
少しずつ 揺らして
散らして 生きるのです

たまに 嗤う者あれば
それは 違うと 諭したり
間違った 理論を
覆されたり しながら
この日のシメにと
熱燗を ゆっくりと あけながら

昨日 久々に 飲んだのは
いちご リキュール
なんて風に 書くと
ちょっとだけ オツですが
スーパーで 購入した
チューハイなんです

本当は クリスマスあたりに
飲もうと思って
買い込んで いたのですが
全く 飲めないまんまで
小正月も 越して しまう 処でした

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何に重きを置くかは人それぞれ
素晴らしいねと他人に言われるのがステータス
それならば言われぬようにはならぬが良い
そうすれば 笑顔で 居られるのだから
言われなくても 普段通りの笑顔産まれる輩なら
何を思い悩むことが 有るのでしょうか

この世は一つ
二分割するのは人の魂
物理的に変動する地平も有りましょうが
雷に似た光りならば
泥土と友に有るのです

溶岩との摩擦で
天に龍をも描くの如く

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塗り固めれば それ程に
強度を増して ゆくもの

郷土に積もりし雪は
今は 拝めぬが

代わりに 出現するは
消雪パイプ

冷水が 流れ出す
湯気が 昇り 雪は 融ける

スコップで また一つ
上に 積み上げましょう

あと どの位で 消えるのか
競争しながら

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雪粒ころり
とっても可愛い
仲良し達を
見つけたの

雪の結晶
その名に 相応しく

コロリ コロリ
寄り添っている

フロント硝子越しに
雨粒に代わった仲間と一緒に
ポーズを決めてくれているようで

夕闇に近い 時間帯
白い粒も
透明な粒も
心に映えて 煌いた

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これはもう 偉いことでっせ
偉いには 二つ意味が 有りますやん

偉人的な 所謂
貴方様を 崇め奉ります〜 なんて
二重敬語で舌噛みそうな瞬間と

もの凄く と
感情を高めてくれる 便利な用語と

凝り固まらなくって 済むんですな
二人 居ると
お互いの意見が 違う場合は
言い合いにも なりましょうが

二つの意見を 選ぶ楽しみが
有りますから

そんな風に 思えた瞬間が
一等 しあわせ

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ぐぐっ。

唇をかみ締めて
這い上がる力を
僕は 信じている

誰の?って
僕の力に
決まっているじゃないか

おてんとさまを見上げても
誰も 返事なんか
しちゃくれない

でも いいんだ

空が見上げられる
この瞳が  潤んでも
まだ 見上げられるから

僕は 幸せものなんだ

そう言い聞かせてから
もう一度 見渡すと

雪の中から顔を出す
狐や兎の幻影が

見えたような気がした

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* 迎え撃つ 指先に舞う 雪の花

不思議な足跡を見つけてから
探していた鳥に逢えたと
足元を 確認する

大好きな ハシブトだ
確か こんな名の 鴉が
居たような 気がする

もう一種類の名称は 忘れた
嘴まで黒く まるんとしている

随分 生ゴミを漁って 
生きて来たのだろう

家族なのだろうか
五匹が 丸まって居る 駐車場

可愛らしくって 暫し フリーズしたまま
おもむろに 携帯を出して 撮影した

そう あの時
ベランダで
不思議な足跡を 撮影した時や
食卓に並んだ 湯気の立つ器に
舌先を運ぶ直前の動作と
全く一緒だ

駐車場の手前には ゴミ捨て場が有る
ここに居た鴉の足先は フィットしない
大きな三角形は 
翼をも 思わせる

君は 失格
大きな赤いバッテンマークが
頭の中で つけられる

其れでも 嘴は 黒いまんま

今朝 ゴミを捨てようと
玄関を飛び出したら
黒っぽい 小さな鳥が 目の前に居た

思わず足元を見る
「合格! 君だ。」

撮影しようとすると
ひらりと僕を飛び越えて
欄干に飛び乗った

まるで あの選手の ゴールシーンみたいだ
ひらり ゆらり 美しいフォルム

撮影を諦めて ハンドルを握る私の目の前に
大きな雪の塊が 舞い降りて来た

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当たり前のように
雪が 降るから

冬は 寒いものだと
脳髄が
信じてしまって

焼き芋の あたたかさに
舌先が
戸惑うんだ

当たり前のように
二人でいる 私は

一人の切なさに
気付けないままなのかも
知れなくて

元気出そう!って
言葉は 簡単だけど
心は そうは
いかないもんね

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自由詩 小豆粥 Copyright 藤鈴呼 2011-01-19 11:59:19
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