朝の言葉
佐々宝砂

カーテンを閉ざしていても
朝の光が私を射しつらぬく
身体にまとわりつく夢の片々と
汗くさいパジャマを脱ぎ捨てよう

熱い味噌汁 炊き立てのご飯
納豆にはネギをたっぷりと
毎朝変わりばえのしないこの食卓
それでもなおこの朝は新しい

昨日の夜私は他愛ない睦言を交わした
甘い吐息に個性などあろうはずがない
世界中の恋人が毎夜同じ言葉を口にする

だが語られるべきは朝の言葉
納豆の匂いにも打ち消されぬ
それは確かに強い朝の言葉である


自由詩 朝の言葉 Copyright 佐々宝砂 2004-10-26 22:05:42
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