魅惑の スパイラル
藤鈴呼

今でも 思い出す
泡の見えた 瞬間に
引き上げられた 自らの身体と
父の 大きな手を

秋田の出戸浜海岸
多分 こう書くんだろう
毎年の 恒例だった

幾つもの トンネルを抜けて
居眠りしたくなる頃
青い海が 現れる

浮き輪に ロープをつけて
身体に ぐるぐる巻きにして
父や 母と 繋いで

いや 繋がれて
何だか ペットの様だったけど(笑)

あれ? 溺れた? なんて
考える 余裕は 無かった

ただ 何処かで眺めた
エメラルドグリーンの海が
バスクリンみたいだな、
そう思った 微かな 記憶

鼻が ツーンと 痛くなって
上から 光が零れて
水面に出て 咳込んだ
かも 知れない

余りに 空ろすぎて
移ろう季節に 巻かれて
おぼろげな
いつかの 夏休み

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動くのは 自分それとも 周りかな

*

例えば 立ち眩みがした瞬間
自分が クラッとしているのか
地震が 起きたのかって
ドキリとする

車窓から 眺める景色に
心 奪われた その次に

遠くの山が 
止まっているように 思えたり

近くのレールが
一本の 蛇に 見えたりもする

遮音壁の 模様が
銀色の線に 見えて来て
少しずつ 歪みながら
自分と一緒に 踊っているようだったり
時に 具合が悪く なったりもする

じいっと 凝視することは
相手にとっても 失礼だから
相手に とっても 失礼だから
これ、二つの 意味ね

凄く 見ていたのだけれど
ずっと 眺めたいのだけれど
ぐっと 我慢を重ねる 瞬間が ある

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一つ 賢く なる度に
三つ 物事を
忘れてしまったと しても

今まで 知らなかった境地に
足を 踏み入れた
その事実を YESと受け止め
私は 笑いたい

嗤われても
哂われても
心われても

幾つかの 瓦礫を手に
組み立てたのが
砂上の楼閣であっても

美しいと 微笑して
見上げて 生きたい

どうせ 忘れてしまうから と
最初から 脳の蓋を閉めて
情報も 記憶も
引きずり出せぬようにするのは
どうだろう

出会いすぎたら
感じすぎたら
心がはちきれるでしょう
楽しい風船は
何時までも 膨らまないから
パチンと 手元を
離れるかも 知れないけど

何処かの空を 彷徨って
見上げた子供の笑顔が
また 一つ 増えるのです

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いない いない ばぁ をして
笑う 赤子に
婆と 思われたと
憤慨する 人は いない

いるかも 知れないが
それは ひねくれものだ

あまのじゃくの あたしは
考える

いない いない ばぁ をする
瞬間は
誰しも 甘えた顔になる
そうでないと
赤子は 
笑わないからだ

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魅惑の味で
哀しみを 忘れさせてくれる
チョコレート

切ない夜に
涙ひとつぶ流した代わりに
一粒の アーモンドチョコを
ぱくり

小寒い朝に
カカオ風味のチョコに似合うは
ホットコーヒー

二つ 合わせて
ほっと 一息

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吐いた息の白さで
今朝の気温を 予測するように

吐いた言葉の角度で
今日の気分を 判断 するんだ

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風が 運ぶもの

季節
思い


真っ白な雲の中には
幾つの綿帽子が
詰まって いるのだろう

たんぽぽのように
笑いながら 生きれば

きっと 

後押しするは
温かな 風

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身の丈を 超えるススキ野原
眺めて 御覧なさい

それでも 足りなければ
分け入るのです

三時のおやつとは
訳が 違います

ゆっくりと 歩めば
得をすると言うものでも ないのです

もしかしたら
虫さされの跡が
残ってしまうのかも 知れませんが

其れは 確かに
アナタの歩んだ 証なのです

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昔 与えられた オカリナの音
昔 与えられた オコジョの姿

脳に 耳に 視界に
ゆっくりと 沈められた 記憶

手元に有る ハモニカを 鳴らす
ちょっと かなくさいのが
丁度良い

一つの音を 丁寧に出すのが
本当は 理想だけれども

いいんだ
適当だったって
勝手な ハーモニーで
私を 癒して くれるんだから

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あお って 色々あるね
ブルーな気持ち以外は
全て 爽やかで 綺麗
大好きな 色合いなんだ

一つだけ 軽やかな音を
導き出すのは
ヒステリック・ブルー

あのね マルーンって
可愛らしい 表現だね
阪急電車の 色なんだね

ウィキってさ
開いた瞬間に
ジャージを 思い出したよ
小豆色

あとはね
赤茶のイメージ

あのね ジャージの色はね
うちらの代から
学年ごとに 変わったんだ

一年生だった 僕等は青
二年生は 緑
三年生は 小豆

プレーンはね 決して
塩っからくは ないんだよ
なんにも はいっていない
素のままの味
プレーンマフィンが そうだった

勤めていた ミスドでは
甘い チョコドーナツも あったけど
アタシは ココナツが
好きだったな

今の気分は 緑
自然に還ろう 素直になろう
そんな 気持ちで
コミュを 一つ 
作った ところ

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思い出小屋は パッチワーク

ふわふわの キルトに 包まれて
良い気持ち

ふわふわの 雲を 眺めながら
思いは 流れまいと
約束を 結んだ

唇を 結ぶ 代わりに
手を 繋いだ

其れで 満たされて居た

小さな 小さな 秘密基地で
僕等は 英雄だった

他の 誰でもない

ヒーローや ヒロインは
一人ぼっちが 多いけど

孤独なんて 言葉すら知らず
夕方の チャイムも聞こえず

走り回った 花時計

いずれ 花びらは 朽ちて
茶色の土と 同化して
見えなくなった

あの頃 あの道が 既に
アスファルト化 していたならば
花びら 一つ 拾い集められたかな

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赤いバラは妖艶な香り
桃色ならば甘い誘惑
ホワイトはフローラル

私の中での 勝手なイメージは
花びらの 如く 膨らむ

女の園を囲む 薔薇のブーケ
ベッドサイトに 一面の花

そんな夜
どんな夢に 堕ちましょうか

美しい女性の横に 
一輪の薔薇

紳士が格好つけて
くわえると
唇から そっと
真紅が 注ぐ

其れは 生きている 証
魅惑の スパイラル

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自由詩 魅惑の スパイラル Copyright 藤鈴呼 2010-10-04 19:25:24
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