*ルーシー二
藤鈴呼

舌先から街が見えた
憧れのデートコース 本当は君と行きたかった
だけど死んでしまったから 君の魂と小旅行

僕の姿が見えるかい? 僕はまだまだ温かいだろう?
天狗山に明かりが灯る 僕の知った夢ぼうし
終わらない物語だって知っている

明日の朝に桜が咲いたならば花見に行こう
舞い落ちる花びらを眺めながら 僕達の運命を
もう一度考えるんだ

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皿に残されたのは 誰も食べたことのない物体
こんな物を消化したなら 僕は消去されてしまう

食料にもならない 生命維持装置
透明の管なんて要らないって泣き叫んでいる

白衣を着たから偉いんじゃない 
勘違いしているあの医者は

僕の細い手首を握り締めて 
「またか お前は狂ってる」

お前なんかに分かりはしない 
僕が知りたいのは皿の中身

あの白い皿に植え付けられた蛆虫が 
元気に生きているのかどうか

それだけが 知りたかったのに

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君達の作り上げた白昼夢 
僕も仲間に入れて

本物の夢を見たいんだ 
心の中で考えている夢の中の夢

夢の奥の夢を抱き締めたならば 
冷たく光ったナイフが見えたよ

僕のナイトは今何処に 
白馬に載せられて逝っちゃった

「どこへ行くの?」 
僕は取り残されたまま

君の影さえも見えなくなってゆく砂漠の中で
大きな声で叫んでみたら 
声帯が壊れてしまった

生態はまだ大丈夫? 
ルーシー君が居てくれるなら

思い出のあの地で 黄色い旗を振って 
僕を見守ってくれている

君が 居てくれるなら

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ルーシーは歩いた 
外の景色を見たかったから

窓を開けて風を吸い込む事をしたら 
風邪を引いてしまったんだ

声が掠れて喉がキリキリ痛む

でもそれ以上に痛むのは
この胃液から流れる心のようだね

夢に落ちる前に思い出したのは 
真っ赤な灰皿から流れ落ちる夢

白煙が城の上から弄ばれている 
空までは届かない

ルーシーもっと良く見て 
君のしたかった事 まだまだ中途半端

空を見るには まだ早いと 
小さなおもちゃ箱の中で祈りつづけている

ご主人様は爆走中 
今頃は宇宙のど真ん中

「もっと夢を見せてあげるよ。」 
それはどんな夢? 輝く未来?

落ち着いた瞬間に戻れない 
籠の中で羽ばたけないまま

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社会復帰の出来ないルーシー 
君はクレイジーdoll

誰がそんなにしたんだい? 
君の髪の毛 引っこ抜いたから

茶変色したままで
世の中をなめまくっていたルーシー

足はついていたけれど 唯の創造物 
自分では動けない

だから彼女は手首を切った 
「これならまだまだ歩けるかも」

肉片を握り締めたまま 
自分の内臓をかき集めて

嗚呼やはりルーシー 君はcrazy 
ちょっとどころか かなりイカレてる

僕が呼んだって聞こえはしない 
空はこんなにも綺麗なのに

君に見せたかった星は 爛々と瞬きを繰り返す 
そして熱い炎を発するだけ

本物のお嬢様になりたければ
毎日うなぎを食べな

あのぐにゃぐにゃのお前の感情 
今すぐに消し去ってみな

手首に巻かれた白い包帯 
「まだまだ動く」 嗚呼情けない

悲しくて 嬉しくて みんなに 見せまくった
永遠の傷跡

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自由詩 *ルーシー二 Copyright 藤鈴呼 2010-09-30 17:11:43
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