仔猫の気持ち
藤鈴呼

例えば其れが レールだったなら
寄り添い過ぎると 事故を起こすから

たまに 歪むのを 許されると するならば
平行四辺形 

ゆらゆら 揺れる手には グラス
なみなみに 注がれたるは
ファジー・ネーブル

震動に合わせて 身体を 躍らせれば
零さずに 済むのだから

溢さないように
溢れないように
ひっそりと 佇むのです

その 滑車の上
くるくる 回転軸を 眺めれば
当然の如く 目が回る

互いの瞳の中に 映る 「僕等」も
永遠に 廻り 続けて
     惑い 繋げて

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成ろうとしているのか
もう 鳴ったのか

輪唱は 未だか
緑の籠は ちょっと狭いと
鈴虫が 泣く

栗の実 生った
イガッとする 喉元 過ぎて
華麗に 大変身

涼しいから 鈴虫が啼く
成ってしまったのか
絶対音階
気付いてしまったか

コロンと 転がる 松の実 待つのみ
夏の末に 泡沫に惑う 季節なれば

成ったのか なぁ どうなのか
首をかしげて 栗の実 食べた

コロン
舌先に転がる 甘味が
Yesと 頷いたような 気がした

*

即興ゴルコンダ
タイトル 秋に  by aoba_4K さん
投稿10作品、投票10票 得票1

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小石には 随分 助けられた
小学校の 帰り道
小さな 仲間外れが 幾つか有った

其れは 全部 仕組まれたもので
其の 小石が 集まったなら 勝てる
其う 思わずには 生られなかった

岩石の 種類を 覚えた
岩石と 呼ばれた頃
岩石の 名前を 教わった

教科書には書いて居ない 友達の作り方を
大人に成ってからは 解らない 感情を
満たされた 幾つもの 意思を拾いながら

感じた
夢見た
抱いた

今日 辛かった 全ての思い出は
砂粒よりも 小さくなって
時計と成り 更々と 流れてく

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クルクルと ヤジルシつなぐ リサイクル

*

活気が溢れる朝と言うのは 良いものです
出来れば 日々 同じ様に
テンションアップを図れれば 最高でしょうけれど
そうも いかない時

日課のように 繋ぐ 言葉の渦で
気持ちを上昇気流に乗せて 羽ばたくのですね

時間や労を 惜しまずに
老は 労わりながら
思い出すのは リサイクルのマーク

くるっと回り込む 矢印は
きっと お互い様 の 合図

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朝顔も 頭を垂れる 雷雨かな

*

カタツムリも きっと 殻の中
昨夜は 中秋の名月
一年で 一番 
綺麗な満月が 拝めると 言う

ススキとダンゴとおつきさま
そんな 昔話か
メルヘンチックな 絵の中の
おとぎばなしの イメージ

今朝の新聞には
作りたての スカイツリーの
真上に耀く
ちょっと 赤めの お月様と
淡い 青色の そら

おつきさま
おほしさま って 言うけど
おそらさまは 言わないねぇ
おてんとさま
おてんとうさま
これは 両方 聞くけどね

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いちずにいきて ろとうにまよわず はをみがき
にぎりこぶしは ほかしたままで へりくつをのみ
とかいにうもれ ちのでるおもいで りろんぶそう
ぬるいといわれた るーつをたどる をんなひとりたび

わたしそんしてる かわいたのどから よかぜにはなつ
たくさんの れんあいじまんと そつないみのこなし
つながるは ねんばかり なくてはならぬ らくなくらし

むこうがわは うつくしいもの ゐちずで のびやかに
おくてでひっそりと くやしがる やっとつかまえた
まけいぬなんてよばせない けっこんを ふみしめて

これであたしも えがおばかりの ていたらくだと
あさになっても 
さきばかりを きぼうばかりを ゆめみた

めめしいこころは みえなくなって 
しつれんなんて ゑのなかのもちのきぶんで 
ひもはあかいろ もうとぎれない 

せかいのしあわせは 
すべてわたしのものなんだからん

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同じ土俵に立つことは
時に 争いを 強要するから

教養の有るなら アナタらしく
ひっそりと 佇んで まどろんでいなさい
窓際の 仔猫が 呟く

されど わたくしは 人間なので
仔猫の気持ちが 解らない
白いカーテンと 見紛うばかりの
真っ白な 絹色の あなたと
同化して しまうのです

白と言う色の共用
時には 月を
時には 波を 演じる

ホワイトアウト しちゃいなよ
悪魔の囁きに 耳を貸す瞬間
私は 思い出す
この 暗闇の奥の 言葉を

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自由詩 仔猫の気持ち Copyright 藤鈴呼 2010-09-29 08:51:20
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