新年の扉 
服部 剛

日頃の不摂生で 
年の瀬に熱を出し 
病院で点滴をした三日目 

今日、初めて気づいた 
点滴を吊るした棒の台車に 
歩きやすいよう 
掴まる取っ手がついてたことに 

昨日、僕は点滴中に 
上着と本を持ち切れず 
床に落としたお財布を 
初老のおじさんが拾ってくれて 
若い僕に席を譲ってくれました 

ふだん気づかない 
様々な小さい優しさを 
今年一年 
どれほど見逃していただろう 

総合病院は今日も 
病人であふれ返り 
まったく不健康な世であるが 

新年という扉の向こうへ 
年を越せば 
きっと 
小さい優しさの数々が 
私達を、待っている。 








自由詩 新年の扉  Copyright 服部 剛 2009-12-31 21:29:16
notebook Home 戻る  過去 未来