空都

私は
すきで
すきで
堪らないんだ。

寒空の下
疾風の如く駆け抜ける
あの瞬間を。


人間の身体って
なんでこんなにも美しくて
危うい均衡のうえで成り立っているんだろう。

それを心から実感できるのは
日本中から祝福をうける日をまわって
また陽が昇るあの日だけなんだ。


どこか祈るような表情の君たちは
あんなに頼りないもので
繋がっているのに
その細い背中、背中に
大きな希望を背負っているんだ。

この日の、この頂上だけを目指してきたから
君達が繋ぐその絆は
意味を持ったものになるんだね。

ある者にとっては
晴れやかな朝の舞台で
ある者にとっては
始まりなのに終わりの日なんだ。


たった二日間の奇跡を

風格のある王者が
風を巻き起こす新星が
これから挑む者の背中を叩く
想いを託したその手が

起こしているんだよ。


金色の光に霞む朝
今年もあの山を越えていくよ

始まるんだ、箱根駅伝が。


自由詩Copyright 空都 2009-12-29 21:10:21
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