そらの果実ははじけても
たりぽん(大理 奔)


それは
口づけをせがむときの仕草で
そらに生まれたのでした
ふわふわと漂うようままに
虹色に、つややかに
とらえられない言葉で
とらえたまま
雲のすきまに
ずっと住んでいると
思って

  ため息で
  風船のようにふくらませた夢は
  舞い上がることもなく
  重く地面にころがり
  国道の向こうで
  はじけるのです
  葡萄のように
  甘酸っぱい汁を
  アスファルトに染みこませて
  シャボン玉よきみは
  たかく、遠く昇ってほしい
  はじけて消える姿を見たくないから
  瞬ぎの時で、もうあえない
  そんな別れ

驟雨は
季節の変わり目をせがむ仕草
空に生まれたのは
夜明け前の胸騒ぎでした 
姿の見えない鳥の
目覚めを告げる
時で締め付けたまま
はじけたなにかが
しずくになって
たたきつけるのです

アスファルトに染みこんだ
そんなわたしをも
洗い流そうと


自由詩 そらの果実ははじけても Copyright たりぽん(大理 奔) 2009-10-13 01:06:19
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