パラダイスシフト
ゴースト(無月野青馬)

去年のプレゼントを頭蓋に嵌める、決着には程遠いが
今年は来ないのか、それも意図的に
耳鳴りが止まない、呼び出し音のように
起承転結を知らせる


夢は藍色の液状で、毎夜垂れ込んで来て、塗り替えていく
一少年に戻りたい、昔のように愛でられていたいと願う夢に、今年は毎夜覆われた
時の止まった夢の中では、リ・イマジネイションが繰り返され、僅かな差異を自演して、喜んでいる、気に入られていた少年になど戻れはしないのに


昼間は降霊をして、自動筆記を楽しんで、糞尿の処理だけして、パラダイスシフトへの状況を整える、途中段階が甘美なので途中段階を繰り返してしまう(なかなか先に行けない)
頭蓋の中がジャラジャラと鳴る
詰まっている物が軽薄な音を立てている
どうとでもなればいい
神憑りメイドが、トイレットペーパーを山積みにしてくれている、使えと云う事らしい


下らない過当競争を蟻に強いて悦に入る夕方、アルバムの写真が剥がれ気味なので、糊付けを再びする
夕方はいつも糊付けをしながら思ったものだった、完全な決着など無いと
嗜好の所為で孤独ならそれは仕方がなかった


朝、メイドからクリスタルを手渡される
メイドは、右脳から出ていましたと言った


クリスマスを迎える支度は毎年手が込んだものだった
サンタクロースが来るからだ
プレゼントでいつもココは満杯になる
サンタクロースはココにどれくらい入ると思っていたのだろうか
隙間は殆ど無いのだ、今までに貰ったクリスタルが目一杯詰まっていたのだから


審美眼は特殊だ、だろう?
冷酷でしかないからだ
審美眼で見られると殺害された気持ちになる、頭部は陥没し、耳鳴りが鳴り出す
今年はクレヨンが欲しい、サンタクロースへの願い事だ
時の止まった夢の中、最後に描くのだ
絵なのだ、最後には絵なのだ
起承転結に決着を告げるのは絵なのだ
サンタクロース、クレヨンが欲しい、今年は来てくれないのか
クリスタルはもう要らない、決着に無益だから
絵が完成すれば
本当のパラダイスシフトになるのだから






自由詩 パラダイスシフト Copyright ゴースト(無月野青馬) 2009-10-09 00:00:49
notebook Home 戻る  過去 未来