ゴースト(無月野青馬)

秋の風に吹かれつつ
サラサラと零れる欠片を思い
秋の雲を見つめつつ
カサカサと這う影の立脚に感づく


秋、怖い秋
金木犀が香る
秋、怖い秋
金木犀は異界の香り


秋は奪う
秋は風の季節
秋は強い
秋は終末の予告


秋の風香る時、私は素直に恐れる
どうしても恐れる
秋は紫の季節
秋は人を上塗りする
秋は別人の季節
秋に実在するのは影の方
黒と白も塗り替わってしまうのよ
ほら


春と夏を待つけれど
秋と冬を無事には通れない
毎年無事に通れなくて
上塗りされた輩に出遭って
その都度
スコップで埋め直している


私は秋が怖い
金木犀の香りが怖い






自由詩Copyright ゴースト(無月野青馬) 2009-10-09 19:14:17
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