末期
ゴースト(無月野青馬)

末期だ
既に末期だ
寝ても覚めても
末期だ
色々と末期だ
蓋を開けよう


四六時中の痛痒
光に拒絶反応が出て
頭部は痺れ
痛みが鈍く蜷局を巻いていた


末期だ
色々と末期だ
脳裡から
削られているのだ
愛したモノから順に
棺に納まっている


想像力の煌めき
あれは尽く食われる
蜷局を肥やす物質だったのだ
あれは火ではない
本当の火ではない


嘆き
それだけが強く、木霊している
嘆きが最高潮にせり上がる時
それが最期の時なのだ
それだけはあらかじめ知らされていた


嘆きが徐々に徐々に盛る時
それは
狐が人の枕元に訪れる時でもある
狐火を迎え入れ
儀式を行える
最初で最後の機会でもあるのだ


狐火を得ても死なない者は
狐になるとされていた
狐になれた者も過去には実在したのだと伝わっていた


末期に
私は待つ
末期に
狐を待つ
末期なのだから
色々と末期なのだから
頭部は痺れ
蜷局を巻かれ
愛したモノは棺に納まっている
末期だ
私は待ち
狐火を迎え入れたい
末期だ
さあさあさあさあ
柳が揺れる
さあさあさあさあ
蓋を開けよう





自由詩 末期 Copyright ゴースト(無月野青馬) 2009-10-08 03:21:12
notebook Home 戻る  過去 未来