網膜に張り付いた被写体
デスマスクの張り付いた円柱


トーテムポールを羨んだ少年
コールタールで造られた
円形の劇場で
自分のデスマスクをバックボーンにして


木の実をもいで着のみ着のままで生きていたいと願っていた少年は
夢破れた15の頃からエクトプラズム吐きの写真家と友になり
自分を被写体にした写真集を作る事に嵌っていた


円形劇場はがらんどう


デスマスクを背中に貼り付けて脚から順に組み上がる少年
写真家の口からはエクトプラズムがだだ漏れる
網膜に張り付く被写体
少年は円柱に組み上がりやがてトーテムポールに
「メメントモリ！」


網膜に張り付いた円柱を一眼レフで撮る写真家
エクトプラズムに包まれた、デスマスクの張り付いた円柱は
少年の身長になり
少年のように笑っていた


デスマスクの張り付いた円柱
円形劇場はがらんどう
写真集は未製本
封印作品にした写真家


ある朝
写真家にそっくりの円柱が現像室に組み上がっていた
翌年
写真家の娘は
隠されていた父親の写真を見た
それは
少年のトーテムポールの写真だった


少女
そんなトーテムポールが羨ましくなり
まずはデスマスクを作り始める


「メメントモリ！」