爆弾
ゴースト(無月野青馬)

MONOの消し滓で練り消しを作る
丸める
こねくり回す
戯れではなく、割と本気で作る
爆弾になれば良いと念じながら


場面転換
奥歯
アナーキーな典型的虫歯菌が歯に穴を開けている


形が歯に似てきた練り消しをこねくり回す
いつの間にか電気を帯びたようにピリピリと光り、帯電している
奥歯が痛む
すると、練り消しの電圧は高まり、発光が強まった
変な連動が生まれていた


一睡もしないで
5時だというのにまだこねていた
かれこれ10時間余り
意識して
指を止めようとしても
指を止められなかった


「また1日を棒に振る気か」
「違うよ」
「蓄えているんだよ」
脳内の会議


10時間経った練り消しは凄いことになっていた
完全に歯の形になり、虫歯菌が蔓延るように電気は帯電し、確固たる磁場を形成していた


爆弾になったと
爆弾を作ったと
友人、知人に言えるかも知れないと
少年は喜んだ


だが
しかし
大きな難点があった
構造上の問題なのか
起爆装置が付けられないのだ
このままでは
“良い火薬”止まりで片付けられる
それでは
納得出来ないのだ


けれども
時限式に改造するには
まだ
少年は絶望し切ってはいなかった
絶望し切ってはいなかったのだ





自由詩 爆弾 Copyright ゴースト(無月野青馬) 2009-09-17 18:20:04
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