とりのこされる、せかいで
たりぽん(大理 奔)

眠れないまま過ぎてゆく
夜明けとともに
境界線の不在を知る
そのために

昼を住処としたわたしは
眠らない深海のさかな
見えないものは無いわけじゃない
何度もなんども、ただ気付く
深くふかく、満たされたゆえの

  沼に立ち尽くす鷺の目
  待ち続けるパーキングメーターの瞳
  夜を住処とする
  怯えた野犬の視線

不確かな境界の日々
ただ、越えてゆくという
それが生きていく事とも知らず
私は生まれてきた

  吹かれる枯野のように
  揺れてゆくのでしょう
  獲物を狙う猛禽のように
  緩やかなそらを描きながら

ほのかな燐光
満たされた世界の不自由と
八等星の明るさを
あいまいなまま求める
ひとり、漂うことで



自由詩 とりのこされる、せかいで Copyright たりぽん(大理 奔) 2009-05-23 13:57:52
notebook Home 戻る  過去 未来