闇を、夜に、蛍
たりぽん(大理 奔)

息苦しい毛布に潜り
生温かな呼吸を繰り返している
朝が来れば、くれば、と
闇のない夜に


  恐れる心が奪ったから
  やさしい鳥は渡ることができない
  闇でなければ輝かない
  道標の星座を失って


蛍が恋人を見失っている
何も見えないほどの闇が育む物すべて
を、失ったから
街には蛾ばかりが舞っている


  遠くで雨が降っている匂い
  それがなぜかうれしい
  うつろっていく世界が
  受け入れてくれたようで


夢だけの夜は眠りが浅い
冷たい水に腹を浮かせて
流されていく蛍

闇に吸い込まれて
  



自由詩 闇を、夜に、蛍 Copyright たりぽん(大理 奔) 2009-05-30 18:15:30
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