なもなきほしと
たりぽん(大理 奔)

そのひとが指した
暗闇に
また星座ができる
夜空の不確かさに
うなずきながら
長い髪が揺れると
それは五等星ぐらい
小さく笑うと
三等星ぐらい

月影を手に入れるために
なにもかもに名前を付ける
それは国境だったり
暦だったり
木や草や
故郷のなまえ
離れたくないひとの
小さい笑いはやっぱり二等星

それだけが
夜空に不確かさを
分かち合える
密やかな決めごと
あなたとしかたどれない星座の向こうには
二人でしかたどりつけない
朝もやがたちこめる

最後に消えていく星の
名前、つぶやきあう二人
その星こそが
一等星




自由詩 なもなきほしと Copyright たりぽん(大理 奔) 2009-04-29 21:04:27
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