山のむこう
因子

変質した皮膚の
いろ褪せるよりはやく
感情には羽根がはえて
山のむこうへおちていく

追わないことにしたんだ
みな 飛び去ってしまえばいいさ

私はここで
入り口みたいなきずの痕を
かきむしっているから

いつか大事な血管を引っかいて
納得しないまま死ぬときも
しかたない の言葉をさがしに
山のむこうへおちていく


自由詩 山のむこう Copyright 因子 2009-04-11 09:23:41
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