廃墟の街に静かに降り積もる
白を見ていた
痛いほど乾いた空に輝く
白を見ていた
歩く度に重く足を取られる
白を見ていた
風が吹く度に頬を叩きつける
白を見ていた

君の睫毛に降りかかる
白を見ていた
君の唇を淡く染めてゆく
白を見ていた
君の瞳の中にちらちらと踊る
白を見ていた
君の瞳の光をかき消してゆく
白を見ていた

乾いた空の中心に
冴え冴えと輝く

光は一点へと向かい
影一つのないこの大地に集約された


君の爪を徐々に染めてゆく
白を見ていた
君の体にいくつも浮き出した
白を見ていた
君の吐息に混じって吐き出される
白を見ていた
君の目から緩やかに流れ出した
白を見ていた

君の体中から吹き出す
白を見ていた
君の崩れてゆく体の中にある
白を見ていた
君の開かれた胸の中に咲いた
白を見ていた
君の倒れ付した大地に散乱した
白を見ていた

白へ
白へ還れ


自由詩Copyright  2009-03-22 15:07:59
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