夜行列車
ゆうと


夜は暗いから
目をつぶっていたらもったいない!
そういって起こされた
でも自然と
嫌じゃなかった

星が見えなくても
何も見えなくても
誰かの夢が転がってる
オーロラの日みたいに
今日は寒くないし
息も白くないけど
寝返りを打った
あの人だけにきこえる声で
ぼくはうたうよ

夜行列車に乗ってゆこう
ポケットに飴玉だけ入れて
つまらない占いをしよう
いちごだったら明日は晴れで
レモンだったら明日はくもり
ぶどうだったら明日は雨で
ハッカだったらきっと雪さ


スクリーンの裏側で
ひそひそ話をしている
あの人が好きなのは
ばらの花じゃなくガーベラだって
そんなことをきいたから
ぼくはいてもたってもいられなくなって
花屋に駆け込んだんだった

あの人を連れ出すために
いくつもの嘘を考えたけど
ありえないよなっていつも
何もしないまま夕陽が沈んだ
そういう日々にうんざりしたから
今日からぼくはすこしだけ
ひとことだけ多めに話した

夜行列車に乗ってゆこう
キャラメル味のポップコーンがはじける
ひとつだけ塩味の
はずれがあったので
ぼくはそれをあたりだと思った
そうしたら
生きるのがすこしだけ
楽しくなるんじゃないかって
思ったんだ


そう
それはとても
ありがちなTVドラマのワンシーンだったけど
バックグラウンドミュージックはずっと
モノクロピアノの音だったんだ




自由詩 夜行列車 Copyright ゆうと 2008-09-24 10:34:40
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