遅咲きの向日葵
皆月 零胤
曇り空にその彩かな色を奪われながら
涼しい風の言いなりに首を振り続ける
自己主張が苦手な遅咲きの向日葵の小さな声は
消えかけた横断歩道の白線部分みたいに
はっきりとせず途切れ途切れで
流れゆく季節に置き去りにされかけている
道路脇に立ち青色の信号を渡りたそうな顔で
横断歩道待ちの人と並んでみることはできるが
それを見送るだけで立ち尽くすことしかできない
日向も日陰もないアスファルトはまるで
のっぺりと続いてゆく日常のようだと感じながら
真夏の面影を懐かしそうに思い出してみる
向日葵は明日こそまたあの照りつけるような太陽が
ここへ逢いに戻ってきてくれるかもしれないと
淡い期待をしてただ変わる信号の回数を数え続ける
僕は太陽に憧れるその遅咲きの向日葵のそばに立ち
決して僕には振り向くことはないと知りながら
淡い期待をしてただ変わる信号の回数を数え続けた
自由詩
遅咲きの向日葵
Copyright
皆月 零胤
2008-08-23 16:21:20