きつね雨
佐々宝砂

真昼の魔女の集会 原色の森で
あたしたちはお互いが魔法の箒
老いぼれた蛇は立ち枯れの木にすがりついて
あたしたちを遠巻きに見てる

太陽と雨はあたしたちを祝福する
雨のしずくを髪に飾って
水を含んだやわらかな苔に裸足をのせて
滑らかな頬と頬を寄せてくるくる踊ろう

乱されたことのない生命の部屋
あたしたちが贈りあう
痛みのない輝き

幽閉された水晶を磨く
あたしたちはいくどでも甦る
熱くて湿っぽい森で きつね雨に濡れて

(1999)


自由詩 きつね雨 Copyright 佐々宝砂 2008-06-24 03:00:22
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