がぁ
あおば



                    080624







灯心草
藺草のことなんですがぁ
蒸し暑い午後
開け放たれた
座敷の真ん中に
寝ころんで
真新しい藺草の薫りを感じる
そんなことを一瞬だけ感じる
がぁ

灯心草で菜種油を燃やす
仄かな明かりで手紙を読む
昼間明るいところで読めばよいのに
今頃読んでいるなんて
怪しい
がぁ
そうも思うのはもっともなことですがぁ
明かりの点いた部屋は目立つ
怪しいことをするには相応しくないがぁ
灯火管制の夜には
なにをして遊んでいたのだろう
今のうちに聞いておかねば
わからなくなると思いながら
灯心草の柔らかい芯に油を浸して
行灯に火をつけるイメージトレーニングをする
がぁ
今日は夏至かな
それとも昨日か
梅雨寒の部屋は薄暗くて
行灯に火を点したい誘惑に駆られるがぁ
我が家には
もはや
行灯はなく
電球も無い
蛍光灯になってからは
灯火に直火を感じることもなくなって
明るさだけを求めているようだ
がぁ
がぁ
がぁ
針を置いた
レコード盤の上で朝を迎える
がぁ
元気な声がぁラジオからも漏れるがぁ
がぁ
がぁ
がぁ
上野行きの夜行列車に乗り込んだ人たちもこの唄声を聞きながら眠い眼を擦り西郷さんの銅像を見上げたのだろうか

がががが
がぁ


自由詩 がぁ Copyright あおば 2008-06-24 01:30:05
notebook Home 戻る  過去 未来