ブレス、夜明けと
たりぽん(大理 奔)

夜明けとともに
失ってしまう事におびえて
冬の星座がのぼる前にと
眠りにつくふたりには
体温だけが必要で
かたむいていく、その先に
今日の終わりは信じないのです

夜がきます
恐ろしい夜更けがきます
星はオルゴールのピンのように弾きながら
楽譜の終わりをたどるのです
あなたを奏でて
影を呼び寄せる時
私は深く息継ぎをして
弓を引き抜くと
聞いたこともないような和音を
闇に差し出すのです

夜明けを見ないから
今日は昨日と同じ今日
それだけは
誰にも教わらずに
でも、知っていたのです
地下鉄の階段で
明るくなっていく空に
星が滲んでいくのを
見ながらいった
、ことば

そして
満たされてしまった夜に
今日という明日のまぶしさに
昨日を忘れて
私はあなたを
見失ってしまうのです




自由詩 ブレス、夜明けと Copyright たりぽん(大理 奔) 2007-10-30 23:24:26
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