路線バス(系統21番)
たりぽん(大理 奔)

  曇る窓の先は雨
  バスの湿り気に汗ばむ
  ポケットのハンカチ
  フロントガラスをぬぐうワイパーの往復が
  息苦しさをリズムにのせようとする

雨の降るしくみは
学校で教わったけど
雨の降る理由を
教えてくれたのは
だれだったかな

  きしきしとつり革がきしむと
  のどのいちばん深いところが
  稜線を見上げるように渇く
  雨で薄めたバーボンは
  偽物の琥珀のようで

  夜には目をとじて
  車窓のゆがみを思い出してみる
  カチカチとリレーの音が満ち
  薄暗い座席のスイッチを押せば
  あかむらさきの星だけの
  安物のプラネタリウム

  床に倒れて
  濡れすぎた傘を
  拾い上げて
  
そんなふうに
終わる今日


  


自由詩 路線バス(系統21番) Copyright たりぽん(大理 奔) 2007-10-01 01:07:17
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