夏の望遠鏡
たりぽん(大理 奔)

北風が公園の遊具を
カラカラと転経するかのようで
あわてて耳をふさぐと
もう名前も忘れたあのひとが
私を呼んでいるのに

声は私を忘れて
名前はだれにも届かない

やっとちぎり取った
八月のカレンダー
レンズのない望遠鏡にして
のぞき込んだ昨日で
揺れる、彼岸花








自由詩 夏の望遠鏡 Copyright たりぽん(大理 奔) 2007-09-26 22:57:50
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