夏が来るとき
一般詩人-

高層建築物の根元に椿が凍結している

定義されてしまった人間
表面は奪われてゆく
相互関係は失われるままに断片化されてゆく
体温のある調度はあるいはパック詰めされた精神

光沢のある闇が
床の表面をひたす

薄氷をつま先でつぶして歩いている
残るこまぎれた氷のかさぶたに
熔けだした足の裏の皮フが緩衝となってしみこむ

足りなさを含んだ風が吹き
凍てついた街区の表面を再構築する



硬質な負のよすがの間隙に
満たされているものの名を呼ぶ
半音ずつ音階を上げながら

半音ずつ音階をあげながら、神殿よりも巨大な存在が猛然と突進する気配を感じたが
定義されているため振り返ることはできない!
熱死を迎えた東京において細胞が絶叫を上げるや
街の毛穴という毛穴からおびただしい数の蝉が生まれたかと思えば
次には定義そのものが瞬間冷却され断片化され
こまぎれた人間の定義に鮮やかな血と肉と
極限まで露出オーバーな夏がぶちまけられ

自宅のポストに、姉からの暑中見舞いが届いた






自由詩 夏が来るとき Copyright 一般詩人- 2007-07-19 02:17:17
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