ピカロ(水のこと・その2)
一般詩人-

「僕の知らないところで音が生まれ、消えてゆく、それが悲しくて」
水がしょんぼりと肩を落とす

喫茶店の2階テラスで
心臓の鼓動みたいに
雨粒が弾ける
音が聞こえない
窓のむこうのことだから

ほら、雨、あがるよ
ほら、見てあげなくていいのか?

俺は水のことをピカロと呼んだ
他でなんと呼ばれているかは知らないが
ヤツのことはそう呼ぶしかないじゃないか

ピカロ
飛び出す
傘も持たずに

お前はそばにいつづけなくちゃだめだ
音が生まれて
死ぬ瞬間まで
そばにいて

ピカロ
そのときは泣くなよ



自由詩 ピカロ(水のこと・その2) Copyright 一般詩人- 2007-07-17 02:44:21
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