しずく 
服部 剛

終電前のファミレスで 
熱く語っていたきみが 
うっかりテーブルに忘れた 
空のペットボトルを  
ぼくは自分のリュックに入れた 

きみのゴミを拾うことで 
自分を少し削れたような 
ちょっと心に苦いような 
不思議な味がひろがった 

別れ際の改札で 
振り返ると立ってるきみに 
手をふって 
背を向ける 

人気ひとけない
ホームのはしまで歩いて 
柱に凭れ、地面に置いた 
リュックの開いたすき間を
見下ろす 

ペットボトルの内側に 
一粒のしずく 
光った 




自由詩 しずく  Copyright 服部 剛 2007-06-25 02:43:31
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