浜辺の女 
服部 剛

古い日記の頁をめくると 
遠い昨日へ 
葬られたひとの名前 

( 霞の向こうに立つ、その人影 ) 

左手首に巻いていた 
あの日の腕時計は 
いつのまに、びていた 

時間ときの止まった 
( 放課後の教室から 
( 夕陽に染まる制服の 
( 君が出てゆく 

教室の窓外は、海。 

うす暗がりの浜辺には 
手の届かぬ、制服のひと 

白魚の指で 
砂に記した一文字 
打ち寄せる波が消すのを 
ひとりたたずみ 
待っている 








自由詩 浜辺の女  Copyright 服部 剛 2007-06-25 02:30:27
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