美しい人
アマル・シャタカ

悲しみの中でしか人は
本当に出会わないのだとすれば
これほどの奇跡はない

眩しさの中で大事なものを見失い
愚かにも己の力と過信する時
太陽の下 
多くのものを焼き尽くしてすべて失う

絶望と孤独の暗闇に
慰めのように月の光が訪れる
そのとき人は初めて「光」を知る

絶望の淵に立つ人よ
今、君は奇跡の淵にいる
暗闇には月が輝き 
遥かなる星達が宇宙の広大さを歌う
俗世しか見えぬ昼間
そこでは出会えぬものたちが暗闇で
君の涙を拭うのだ

虫たちの歌が 
鳥たちの唄が 
風たちの詩が
君に聞こえるのは 
君が耳を傾けるのは
耐えようもない孤独に打ちひしがれた時

そのとき君の傍らに立つ
本当の人に出会うときなのだ

絶望の淵に立つ人よ
奇跡の淵に立つ人よ

嘆くことはない
孤独に震え流す涙こそが
奇跡の扉を開く鍵

愛する人を探し出す灯火なのだから


自由詩 美しい人 Copyright アマル・シャタカ 2007-06-11 13:14:50
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