chrysalid crack
黒山羊

陽炎は空気が熱されたからだと
薄々 気付いていた

視認し 綺麗にラッピングして送りつけ
そして声を聴き 満たされたとしても

隙間から冷水が湧き出続けて
真皮を冷やしていく
一言でいい
現在がリンクする瞬間が欲しい

ばかだな 何も変わらない
いずれまた溢れて
熱い苦しみに溺れるだろう

貴方から貰った燈火が燃え続ける限り
時の足音にも耐えられる

飢えが苛み 貴方の血肉を求める
私は知っている
絵に描いた果実でも腹を満たすことができる

傍に在ると信じられなければ
ぬくもりを感じることもできないだろう

滑車の上を走り続け
快楽を与え続けられてきたのなら
止まった景色は耐え難いだろう

只、好きだと叫ぶ以外に
百通りの方法がある
それをひとつずつ試してみよう
全てが誤魔化しだとしても
時間稼ぎにはなるから


自由詩 chrysalid crack Copyright 黒山羊 2007-04-04 11:12:23
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