月砂
黒山羊

 冴え渡り 裸木連なる砂大路
 赤下駄の大小 足跡は縄目模様

 指しゃぶり 零れた涙は飴玉
 頬拭う唇は 紅汚れ残し

「母様は水底に嫁いで去った」

 有明月 呑み込み 囁く
 蛇の抜け殻 砂に埋もれゆく

「亀の子は潮騒に引かれる」
 轡の先で嘲笑う赤馬

 苦海に流した雛人形
 針の月に縫い止められ
 浜に傾いで刺さっていた

「汀が終の道ならば」
 足跡は月を追っていった


自由詩 月砂 Copyright 黒山羊 2007-03-26 00:20:01
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