雨道
及川三貴


曇天の沖から軟らかく
水の予感を含んだ風
割れそうに痛む頬を包み込む

声は白々しく掠れて
雲が低く海を押すように

閉じ込められた玉砂利が
剥き出しの道に拡がる
窒息を誘う膜

ドアを開けて閉じた傘
満ちてくるものを知っていた
海面を叩く模様は針

そうして
真っ暗な部屋で
その音聴きながら
濡れた髪を乾かして
徐々に光だす
奇妙な程乾いたベッド

肌を擦る布越しに
ささやく熱たちの
遠い距離を測りあった

雨が続く


自由詩 雨道 Copyright 及川三貴 2007-03-25 01:46:17
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