産声
岡部淳太郎

はじめて声を上げる。はじま、りの、はずか
しい過去を背負ってまで、橋を渡って喉をふ
る、ふる、ふるわせる。てえぶるの、表計算
の、[枠]の中に囚われ、ていた酸素の、また
《二》酸化炭素の、見えないたゆたい、を、
守る。ながれよ。ながれ、よ。何のりゆうで、
おまえはいままた、生まれ(落ち)ようとす
るのか。あるいは【2分の1】の、確立で、
大きな打席を迎える。やって来るのは、丸い、
輝きをおさめた星のような、見えない球、だ。
吸い込んで、吐き、だせ。[世界中]に、音
はあふれているが、このような、ふる、える
性質の空気の動きは、《二》束三文の排ガス
には、わからないだろう。ふるえる。ふる、
える。氾濫。はんらん。熟した過去が並列の
未来を、つくり出す、だろう。これらの空気
の(落ち)合う場所を刻々と過去へと変りつ
つある、時の中へおさめよ。【2倍】にふく
れ上がる、叛乱。はんらん。はじめのけじめ
として、しっかりと、箸を持つ。はまべの墓
の、生まれる息吹よ。喉をふる、わせて、は
んらん、せよ。あ、はじめての声を上げる。



(二〇〇七年一月)


自由詩 産声 Copyright 岡部淳太郎 2007-01-22 23:07:22
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