はじめに光がある。
 闇の中にある光。闇の中だからこそ存在感を放つ光。だが、周囲がすべて闇であることは間違いがなく、だからこそそこにいて生きることはつらく苦しい。それでも、光はある。ただひとつの光 ....
 自分の友人のことについて語るのは難しい。そこにはどうしても遠慮や照れくささといったものが介在しがちであるし、ましてや彼は僕がやっている「反射熱」という詩誌の同人でもあるので、下手すると仲間褒めといっ .... あるいは、その時の感傷、ではなくただの、感情、心の
剥がれ落ちた、かたち、そのおもてを上塗りするように、
すべらないように、注意して、歩いていく、と、見えて
くるものは、「私」のかたちとしての、 ....
夜を媒介する。私たちはためされてはかられて、いまこ
こにいる。あるいは朝を、また昼を媒介して、私たちの
心身が伝導体となって、少しずつ接触していく。私たち
が味わう陽気や狂気も、ひとつの通りすぎ ....
 最初に断っておきますが、僕は議論があまり好きな方ではありません。自分が提出した意見に対して横槍が入ったからといって、それに答えて弁明または自らの意見を解説するようなことは極力したくありません。それと ....  以前書いたある文章への反応に、作者である自分からしたら思いもよらないものが返ってきたことがある。その文章は自らを特別な存在のように見做してしまう「詩人」へのエールのようなつもりで、同時にひとつの作品 .... この時代、未熟な力が求められている。いまだ生まれえない、いつ
までも成長することのない力。たとえば秋のにおいのする草原に行
けば、妹という名の下にそれはごろごろと転がっている。妹のやわ
らかさを ....
夕焼けなんてなくなってしまえばいいとおもう。昼と夜
をへだてるものをなんとなくつないでしまう、そんなち
ゅうとはんぱな橋は、星からやってきたぬすっとにくれ
てやるか、三日月のくらいぶぶんになげこ ....
 散歩が好きだ。ゆっくりと、目的地を決めずに歩く。春や秋の、それぞれの季節の風物を感じながら、ひとり歩を進める。そんな感覚が好きだ。そして、歌をうたう。そうすると、人からおかしな奴だと思われる。人は陽 .... 茅ヶ崎の海を憶えていない
浜見平保育園も
それから後の二宮の
梅花保育園のことも
みんな憶えていない

母にきけばあの頃
ひとりで保育園をぬけ出し
街中をさまよっていた
こともあった ....
水の本を開く
文字は流れ出し
意味は溢れ出し
あとには
水の思想だけがのこる
川によってはこばれ
人びとの喉をうるおしながら
水の暗喩が偏在する
その波の繰り返し
晴天と雨天の交替
 ....
 どうも批評というものは、ネットのような有象無象が集る場所ではかなり誤解されているようだ。批評を作品に対する単なる悪口と同義に思っている人がいるらしくて、びっくりしてしまう。その程度のものだったら「批 .... {引用=po・et・ic ―― a. 詩の、詩的な、詩趣に富んだ、詩に適する、詩人の(ような)
stig・ma ―― n. (pl. 〜s, stig・ma・ta )〔古〕(奴隷や囚人に押した)焼 ....
あおい月がしずかに沈むのを防ぐために、どれだけの灯
りが必要だろうか。どんな空の下でも、繰り返される息
があり、その色は見えないが、あかでもなく、みどりで
もなく、あお。それに限りなく近い色だろ ....
そして火は燃えさかり
すべてを焼きつくすだろう
それぞれの
人の生を
それらがあつまったこの
人の世でさえも
焼きつくして
火は遠い天上でわらうだろう
限られた空
その見えない境界で ....
 先日、横浜詩人会が主催するイベントに行ってきた。JR関内駅から歩いて数分、横浜スタジアムの近くにあるZAIMという古いビルの中のミニシアターで行なわれたものだ。第一部は横浜詩人会会員によるポエトリー ....                 したたる、

水のひびきのなかに、私の声があ
ります。暗いこころのままで死ん
で幽霊となった私のとうめいな喉。
ぬれながら、だえきもでないほど
にかわいてし ....
ことしもまた春が来て
暖かくなって
やがては暑くなる
またしても
煩い季節になりつつある
驕れる者 久しからず
正しきも
疚しきも
また同じ
そんな世捨て人のようなことを
つぶやき ....
もうすぐ
九百九十九年になります
その頃には
ひまわりも咲いているでしょう
絶望から生き残った
藁のような人びとが
ゆらゆらとゆれているでしょう
咲いてしまうことに
罪はなくて
咲い ....
 数多くいる詩人たちの中で、八木重吉ほど語りづらいと感じる詩人はそういない。何故だろうか。私だけの感じ方であるのかもしれないが、そんなふうに感じてしまう。おそらくそのあまりにも無防備すぎると思えるほど ....  何故だかわからないが、女性詩人の詩を取り上げて論じることに妙な躊躇があった。もちろん女性の書く詩が、男性の詩よりも劣っているなどと思っていたわけではない。優れた女性詩人は多く存在する。一読者として好 .... 回る
火のついた犬のように
走りながら
回って今日一日の
憂愁を追う
今日も丹沢の山は見事に鋭角で
背後の空からくっきりと浮かび上がっている
おそらく上州前橋から見る山なみと
そう変る ....
歌う川

          ――十一の変奏曲
{引用=


川は
歌う
膨大な水の旅客を乗せて
すべての山と谷を後に残して
流れながら
歌う




祈る人は ....
ひとつぶの声・ひとつぶの水
{引用=
祈る人は知る
自らの歌が
ひとつぶの声であることを
自らの祈りが
ひとつぶの声であることを

橋を離れ
その下の暗黒を離れ
いまや大河の様 ....
遠くで呼んでいる
{引用=
また
もうひとつの朝
祈る人は いつものように目醒める
いつものような 川の歌
いつものような 川沿いの歩行
いつものように
滞りなく
祈る人の一 ....
      恥を忍んで、昔書いた連作詩篇を投稿しようと思いま
      す。一九九七年から翌九八年にかけて、「歌う川」と
      いう総題のもとに十七篇の詩を書きました。今回はそ
     ....
どこかで聴いたことのある歌
その旋律が 流れてくる
思い出せない
歌の名前
思い出せない
記憶の糸が絡まっている
それでも
どこかで聴いたことがある
それは確かなのだが

思い出せ ....
毎日、夕方になると世界が溶け出す。誰もがみなとっく
に気づいていることなのに、誰もそのことを口に出さな
い。(それは、おそろしいことだからだ。)たとえば、
あらゆる文体が溶け出して、誰が何を言っ ....
雨の記憶を憶えていない
私が はじめて雨に遭遇した時の 記憶
それはかすれて 雨の日の
窓ガラスの向こう側の風景のように
ぼんやりととおくなってしまっている

だが 思い出せば
いつでも ....
泥になって歩く
海の方から風が吹くと
私じしんである 泥
がかわいてしまいそうになる
おまけに潮のにおいまで
はりついてしまいそうになる
この湾岸沿いの道は 淋しさ
そのものが細長く伸び ....
岡部淳太郎(341)
タイトル カテゴリ Point 日付
There Is A Light That Never Go ...散文(批評 ...207/12/16 9:31
服部剛 その詩と人散文(批評 ...907/12/1 21:30
祝祭[group]自由詩707/11/27 8:52
夜を媒介する[group]自由詩707/11/18 23:46
個人の「経験」から世界の別の顔へ散文(批評 ...4*07/11/13 13:15
特別であり普通である私たち散文(批評 ...1+*07/11/5 10:44
妹のはじまり[group]自由詩6*07/10/18 22:55
かんかく[group]自由詩5*07/10/12 23:47
季節の散歩術散文(批評 ...507/10/7 23:43
迷子(幼年篇)自由詩9*07/10/4 22:31
水の本自由詩1107/8/24 20:52
批評について、ふたたび散文(批評 ...14*07/8/4 20:16
The Poetic Stigma散文(批評 ...14+*07/7/25 23:07
The Blues Are Still Blue自由詩11*07/7/14 21:11
夏のアニミズム自由詩13*07/7/12 23:27
失語から生きる散文(批評 ...18*07/6/20 21:46
したたる、[group]自由詩23*07/6/12 18:15
必衰自由詩17*07/6/4 18:53
九百九十九年自由詩16*07/5/21 20:45
近代詩再読 八木重吉[group]散文(批評 ...14*07/5/6 22:13
新川和江 ——〈永遠〉を志向する大きさ散文(批評 ...8*07/4/24 21:31
萩原朔太郎を喚び出す詩自由詩14*07/4/16 19:52
連作「歌う川」より その4[group]自由詩3*07/4/4 20:03
連作「歌う川」より その3[group]自由詩5*07/4/3 23:03
連作「歌う川」より その2[group]自由詩6*07/4/2 19:05
連作「歌う川」より その1[group]自由詩5*07/4/1 21:07
無名の歌[group]自由詩13*07/3/26 21:04
日毎の溶解[group]自由詩19*07/2/19 1:27
雨になる前に走り出してしまう自由詩8*07/2/14 22:32
湾岸経由蜜柑畑行き自由詩24*07/2/6 21:59

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