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冬めきてラディゲ読む夜の重さかな
幻滅と悔い残してや恋の冬
この星に我ひとりなり冬の雨
黙々と落ち葉掻きやる白痴かな
吸ひ殻と誇り捨てたり枯れむぐら
老媼の叫び響くや空ッ ....
夕立や子猫の腐る竹林
重き夜や夏に狂うて血のちぎり
うたも絵も美しくあれ夏の闇
病んでなほざくろの花は輝けり
筆先に落つる泪や花ざくろ
しづけさやプールに沈む我がいのち
....
短夜や障子に当たる虫の音
五月雨に降り籠めらるる小鴨かな
雨音も消ゆるやうなり花菖蒲
あぢさゐの花の重さや長き雨
梅雨の野を濡れて行きたし泣きながら
我は泣く汝は血を吐け ....
もう雨が降ると息が白い
プラットホームは痛いほど凍てついている
出来損ないの私の影を穿つ雨
午前六時三十分に青い電車に乗る人 他人の朝
水溜りよ青は無残に散乱する
どこへ ....
なき母に 「帰りが遅い」と こぼす父
ふと君が 浮かんで消える 体感温度
草萌ゆる 庭を覗けば 枯れた花
青い影 いまはそれさえ 独りきり
空の雲 淡き恋の 記憶のいろ
砕け散り 輝く日々は 錆 ....