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言葉が沢山散らばっている野原で 僕はその言葉達の背後にある哲学を編もうとした 多種多様な関係の枠組みを総動員して僕は一個の一貫した哲学を読み取ったつもりでいた だがもう一度その野原を眺めるとその哲学も ....
「砂浜に抜ける路地」を一つ拾ってきて、波の音
を額縁に飾る。愛という言葉で何を隠したいのか。
行間には関係性だけがあって鞄には入らない。み
んな事情を抱えていて、 ....
言論の自由の中で
わたしたちは饒舌な唖になる
会葬者の囁きにも指先を踊らせるが
本心は棺の中
乾き切った筆のように横たわっている
表現の自由の中で
わたしたちは着飾ったマネキンだ
禁 ....
林檎や梨が
その位置を偶然から必然へと動かすとき
その表面へ差す光は
外部に言葉を与え 内部を言葉から離した
再び
林檎や梨が
その位置を必然から偶然へと移すとき
昼の底にある闇が
....
育てていた蜜蜂が 熊に襲われた
蜜を狙って巣箱を壊し 女王蜂も食べられた という話
熊って 蜜だけじゃなく 蜂も食べるの?
食べるらしいよ それ以来 蜂が怖がって
外へ蜜をとりにいかなくて ....
{引用=―M・T君に―}
「てんぎゅうをとりにいこう」
きみがそう言った夏休みに
ぼくらは残忍なハンターになる
もくもくと青空に湧く入道雲
稚魚の群れが回遊する島の海を
ぼくら ....
ぱたぱたとひるがえるちいさな二足のズック靴
幼稚園への近道で
つないでいた手を離し
走ってもいいよというと
かならず笑い声をあげながら
細い坂道を駆け下りていった
その弾む後ろ姿を
おぼ ....
どうしても海が見たくてしかたない時は
海の すぐ傍にまで行くか
それとも
あえて離れた場所に立つ
たとえば山を削った住宅地のはずれの公園
ゆるい長い坂の上から
遠く見る海は
白い岬をした ....
バチバチ
ステージが変わるよね
「ババーの乳首が湯船をたゆたう」って言われても
萎んで来たけれどまだたゆたうほどじゃないし
てか、
ボーイ!
乳首がたゆたう湯船をどこで見た ....
窓から差し込む陽光に
そっと手を翳す
翳した指の透き間から
幾筋もの光が和音となって、響き渡る
部屋中に響き渡るそのハーモニーは
希望に満ちた朝の光
朝の空気の中、陽光が満ち溢れ
そ ....
つぼめて 槍のように立つ
咲いたら 雪にとらわれ
爪の先 包み乞う 花びら
紫 赤 黄色のスクリュー
破る葉と土 ほどけた傾斜
雪の香りに 身をひめる
....
一.
雨あがりの きみの靴は
つま先が いつも
虹のうまれる方角を ながめている
二.
黄のバイエルを
途中でなげだしてしまった
きみの
メゾピアノで吐く息が
ス ....
ふれる
ふわり
まとう
ふわり
なぞる
ふわり
なでる
ふわり
かじる
ふわり
つまむ
ふわり
ふたりがひとつに ....
水を
拭わずにきた
ざわめきの彼方から
萎んだ心臓は
息を送り出し
闇の下生えに隠し
やまいは花を
群生は
水かきの張った手で
がらんどうの
再生を試みている
伸ばせばそこに
....
あなたのせい
と、言わないのは やさしさ
と、じぶんのおへそに
言い聞かせていた
けれど
これは プライド。
わたしがわたしでわたしの重みに耐えるため。
**
日付が変わる直前 ....
湿り気を帯びた水曜日の午後
回し忘れた回覧板の中で
『実りある都市計画~その概要』のパンフレットが
気まずい折り目をちらつかせながら
遅々として進まない事業の行く末を気に病んでいる
テー ....
雨編む朝は天邪鬼
いま忌む意味を遺書にして
嘘に倦んでは海に埋め
えにし選べず益を得ず
恩は怨へと惜しみなく
春は華やか白知の波乱
昼の日中に日照りの蛭か
古き深井戸腐の吹き溜ま ....
存在するということは いつも決まって挨拶だから 時間が渦を巻くところに 僕も決まって挨拶を返す 今日も歴史が生まれましたなあ いえいえ単なる磁場ですよ そうして僕は踵を返し 存在しないということは い ....
ホテルに戻ってスーツを脱いで
ワイシャツとパンツと靴下になって
腕時計をはずしていたときだった
パンツにヒヤッとしたものを感じて
手をやるとつめたく湿っていた
ちんちんに ....
・
揮発性の朝の
つめたい胎盤の上で
藤の花房が ゆれている
・
風にさらわれて
透けてゆく春の上澄みは
背中から咲いてゆく
焦点のあわない花の群れの
ひそやかな発声で
....
あなたが壊したものは
簡単なようで とても気難しく
わたしの手には負えない
静かなようで とても激しく
それは海のようだ
海であるということは
その内側にやどるいくつもの命が
....
失恋って
誰かと共有する必要が
あるのかな?
一人飲み
布団かぶって寝るので十分
明日は
誰もそんなことがあったなんて知らない
そんな顔で
リセットしたいね
木の皮に こもった熱が
少しづつ 雪を溶かし
陽射しが 波紋のように
幹の根元を まるくあゆむ
溶けた雪は水となり 土にしみ込む
しみこめない水は 雪の下をたぱたぱ流れ
水の膜 ....
先生が僕を卑怯者と呼んだ
その名前はおでこに貼りついて
やがて
僕の皮膚になった
月日が過ぎて
周りが誰も気づかなくても
僕の耳には
先生の声が時々聞こえた
先生 僕は先生のよ ....
埃っぽい倉庫街の一角
赤煉瓦造りの古風な倉庫
その中で熱心に壁の穴を覗く者
それは老人だった
グレーの草臥れたジャケットを着た
老人だった
櫛の通っていない白髪の
老人だった
老人 ....
二人のホームレスが同じ公園に暮らしていた。一人は家庭の不幸により、暫時行き場所を失った優秀な青年。もう一人は幼い頃からの窃盗の常習犯で長く浮浪生活をしていた。二人は意気投合し、配給される食事を一緒に食 ....
雪が僅かに消え残った海岸に
揺れているのは去年のススキだ
長く厳しい冬の間
雪に埋もれて立ち続けていた
ススキはいつ倒れるのだろう
既に枯れているのに
命の抜けた穂を振って
いつまで風に ....
るる、と呼べば
りら、と響く
それは歌
スノードロップが
白い鈴を鳴らしている
水仙が
黄色い笛を吹いている
{引用=合唱団の申し込みは
春色のポストへ出してください
....
先天の、
/腕を牽く。勾配をくだる白日。
現像されたばかりの陰翳、育つ造花。
水禍。渦を巻くあかるい幽霊たちの麓にて、
孵らずにはいられないあまたの埋火、
....
いろんなことあるよ
いろんなこと過ぎていくよ
だいじょうぶ
手をつないでいこう
みんな
のぼっていくね
空には
酸素がいっぱいなんだって
誰かいってた
くらげはね
水にとけ ....
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