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白い絹のような夜
双子の一人は
もう一人を揺さぶる
隠されたおもちゃの
在り処を聞き出すため
哲学的な問答の
何度も
何度でも
蒸し返されることといったら!
起こされた一人は
寝ぼ ....
だらしない悲しみが
寝そべっている

海までの通り道に

誰かほうきで
掃いてくれる人はいませんか

と呼びかけてみるが
返事がない

仕方なくそいつを
折り紙のように折り畳ん ....
貨物列車は
北北東へ

思い出すのは
遠い国のお話

どうしてあのときあんなにも
どうやらこのごろすこしずつ

骸骨になって
自分の中を旅している
私はいる
たくさんのイルカを
折るために
机の引き出しから
取り出したイルカをへし折り
そのかすかな鳴き声で
たくさん欲情するために
月に置かれたままの
ピアノを弾くことはないだろう
 ....
幽霊の朝だ

右手をあげて
おはようのあいさつを
それは別れの
あいさつを兼ねている

かなしみが鳥のように
肩にとまっているから
身体は右に傾いている

よろこびが鼠のように
 ....
美しすぎない朝に
美しすぎないコーヒーを
美しすぎない新聞に
美しすぎないこの国の出来事
庭を手入れしよう
美しすぎることのないよう
美しすぎない噂話が
この街で語られることだろう
美 ....
   わたしもそれなりに
   大きな別れを経験したことがあるけれど
   それらすべてに共通しているのは
   ライオンがいた、ということだ

   動物園が舞台であるわけでも
    ....
おはようございません

ペンは
僕自身より大きい

今日一日でひとつでも
いいのが書けたらおなぐさみ

この世の中の怖いこと
ミサイルや放射能
悪い噂や不意のお別れ

どれを取 ....
紙で飛行機を、なんて
誰が考えたことだろう
一体どれだけ乗れるというのか
世界には70億もの
人間があふれているのに
私たちには牙や鱗がないかわり
言葉というものを持っていて
言葉にある ....
かばんの中に入っているのは
読みかけの文庫本
かばんの中に入っているのは
猫の形のボールペン
かばんの中に入っているのは
誰かにもらったネックレス
かばんの中に入っているのは
誰かにもら ....
もっとくだらないものを
もっとたあいないものを
わたしのなかに鳥がいる

もっと止めどないものを
もっと果てしないものを
あなたのなかに海がある

もっとせつないものを
もっとはかな ....
世界の半分は
届かない手紙でできている
バファリンの半分が
やさしさでできているように

わたしは青い魚になって
行方の知れない手紙を探す
ふるさとのような街
海底のような夜

言 ....
名もない詩人の
名もない歌を
名もない人が読むだろう

感想は言わないだろう
いいや、言えないだろう
言葉ではないものが
深いところに旅立った後だから

名もない宿のソファには
青 ....
泣いて笑って
閃いて迷って
薔薇を買って
のけ反って跪いて
隠して隠されて
神様に隠し事して
見つかって見つからなくて
ほぼあきらめて頬あからめて
うんと産んで
うんと倦んで
詩を ....
わたしのなかに
あなたはとどまる

ときに柔らかく
ときに残酷に

あなたの言葉
あなたの微笑
あなたの仕草
あなたの沈黙

そしてあなたが手渡す
葡萄の一房

その甘さと ....
あなたがどこで
何をしてたってかまわない
次の惑星で会おう
同じ鞄と同じ事情を抱え
ぼくたちはそんなもの
いつの世に生まれても
手ぶらでなんか生きられない
疑ってごめんね
大きな魚の幽 ....
人は皆一人前になると
船の一艘や二艘持つものだ
実際わたしの同僚たちも
それぞれの個性に応じた
それ相応の船を持つ
ある者はボート
ある者はヨット
ある者はクルーザー
ある者はカヤック ....
わたしの中に 
ひとりの画家が住み着いて
わたしの心をアトリエにした
家賃も払わず居座ったその画家は
来る日も来る日もデッサンを重ねてばかり
わたしの胸中は
未完の作品であふれた
 
 ....
      僕は途方に暮れている
      渡したいものがあるけれど
      今日は誕生日でも
      記念日でもない
      項垂れるむこうに
      ぽっかり浮かぶ
 ....
遠くまでやって来た
この街に住み着いて
しばらく経つのに
こうして普通に暮らしているのに
いつまで異邦人なのだろう
思えば普通が一番遠い
わたしの笑いはだれかの笑いでは
どうもないらしい ....
わたしに
猫の眠りをください

おもては雨が降っていて
いきものがあまやどり

どんな希望も絶望も
持ちたくはないのです
いまは

どうか
猫の眠りをください

長靴みたいな ....
仕事が終わり
公園にひとり
子どものころに
遊んだままの

こんな夜更けに
遊ぶものはない
呆然と立ち尽くす
ブランコと滑り台

季節が変われば
風が変わろう
水のように
私 ....
雨の唄を歌おう
今、きみに
伝えたいことはないから

ある人は傘を持っていて
ある人はそれがない
ある人はピアノを弾いて
ある人はレコードを取り替える

鳥たちは軒下で
並ぶ順序に ....
誰でも心に
ピアノを持っていると
どこの国の神話にも書いてある
だから無謀にもきれいな
旋律を探して
雨の日も晴れの日も
歩き回っている
この街は楽譜のようで
地下鉄が東西に走ったり
 ....
孫に話そう
妻や子どもには
とても言えない
だって生々しすぎるでしょ
いつの日か
わたしの前に
現れるところの
孫ならば
静かに
頷いてくれるだろう
時には
笑ってもくれるだろう ....
数えきれないだろう
あなたを探した朝の数など
数えきれないだろう
あなたと笑った昼の数など
数えきれないだろう
あなたを憂えた夜の数など
数えきれないだろう
あなたと歩いた道の数など
 ....
夜に
生長する木があるという
普通の植物のように
陽の光や水を養分とするのではなく
暗い闇の中
静寂と孤独を糧に
その枝を伸ばすのだという
そんなことは信じられないと
大抵の人は言う
 ....
私の雀を買ってください
5羽で2アサリオン
珍しい声で鳴きます
夜は静かに眠ります
寝言は言いません
寝返りも打ちません
夢はよく見ます
汗びっしょりで
目が覚めることもあります
け ....
ようふくをたたむ
しょっきをかたづける
とうふをましかくにきる
みずをのむ
おりがみをおる
よみかけのほんをおく
べらんだにでる
ほしがでている
いまをととのえる
くつしたをはく
 ....
ある人が森の傍らに住んでいた
森は言葉を持っていなくて
淀んで鬱蒼としていた
ある日、森から
はじき出されたものがある
小さくてやわらかく
まだ何とも呼ばれていないものだった
その人は思 ....
ただのみきやさんのやまうちあつしさんおすすめリスト(76)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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だらしみ- やまうち ...自由詩323-1-23
GK- やまうち ...自由詩423-1-6
私のイルカ- やまうち ...自由詩219-11-1
可不可- やまうち ...自由詩719-1-3
美しすぎない- やまうち ...自由詩318-5-27
サヨナライオン- やまうち ...自由詩3*17-10-7
詩人の挨拶- やまうち ...自由詩117-8-15
紙の飛行機- やまうち ...自由詩317-6-21
わたしのかばん- やまうち ...自由詩5*17-4-22
ないものねだり- やまうち ...自由詩517-2-28
ないものねだり- やまうち ...自由詩517-2-26
nobody_John- やまうち ...自由詩417-1-12
人間活動- やまうち ...自由詩3*16-11-21
とどまる- やまうち ...自由詩216-10-24
星の恋人- やまうち ...自由詩316-10-1
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エトランゼ- やまうち ...自由詩216-7-31
猫の眠り- やまうち ...自由詩316-7-8
大人も祈る- やまうち ...自由詩216-5-26
雨の唄- やまうち ...自由詩216-5-11
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夜の木- やまうち ...自由詩416-2-15
わたしのすずめ- やまうち ...自由詩416-1-22
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