すべてのおすすめ
麻の半袖ワンピースを
さっぱりと洗い
捨てる時を伸ばし伸ばしにしていた
サンダルに永遠の別れを一方的に告げる
風鈴は日曜日の新聞紙でくるみ
青いペディキュアを消す
扇風機の薄い羽根 ....
白くてぼんやりしている一日
読みかけの本は表紙から冷えていく
犬はどこどこ毛を生え換わらせるから
死んで右往左往している夏の毛を集めて
新しい子犬として
毛糸玉に魂を吹きいれる魔法の息を
....
今年の梅雨明けは遅いですね、と話しかけられた気がして目を開けた。誰も私を見ていないし、ましてや狭いバスの中で他人に話しかけるなど、いまどきともするとちょっとした迷惑ととらがえがちな行動を取る人は少ない ....
〇一日目
お盆には帰ってくる? と聞けば
コロナ次第かな、と答える息子
じゃあね、と手を振る
新幹線の改札口
人はこんなにもさみしくなれる
胃袋までさみしさでいっぱい
白薔薇
花言 ....
父母が買った墓を見に行く
高台にあるそこからは
海が見渡せ
なんのわずらいもない風が吹き渡り
小さな飛行機が雲間に光る
このお墓に入ったら
この景色を見て暮らす、という母に
いい ....
竹の子の皮には
小さな産毛が生えていて
まるで針のよう
はがすごとにちくちくする
皮の巻き方は
妊婦の腹帯のように
みっしりと折り重なっていて
はがされたとたんに
くるりと丸くなる
....
糸杉の並んだ道
夏のただ中だった
一歩歩くごとに
汗は蒸発していき
肌に残されたものは
べとつくだけの塩辛さだった
暑さのあまり
蝉の声さえ途絶えた
世界には
わたしとあなたしか ....
夏のあいだ僕らは
危うさと確かさの波間で
無数のクリックを繰り返し
細胞分裂にいそしみ
新学期をむかえるころ
あたらしい僕らになった
けれど
ちっぽけなこの教室の
ひなたと本の匂いとザ ....
なぜか通夜や葬式に雨が降っていることが多かった。
人が死ぬということ、世界のどこかで雨が降るということは、あっけないくらいあたりまえのこと。けれど自分にとってゆかりのある人の死は、雨があがったあ ....
丸ごとの白菜は
野菜というよりは
赤子のような
生きている重量があって
大切な預かり物のように
抱きかかえれば
ここは冬の入り口
ひと皮むくごとに葉は
正しく小さくなる
まるで
....
やわらかな鉛筆の芯で
ここにはいない君を
スケッチしました
身体をおおう毛は
鉛筆を少しねかせてふんわりと
ひげは鉛筆を立てながら
細い針金のように
それは君の
生きることにまっすぐだ ....
まばたきは
シャッターだから
夜になると
わたしのなかは写真だらけになる
そうやって
撮り続けた
日常のいくつもの場面を
夜の川に流していく
笹舟のゆくえを追えないように
それら ....
土砂降りの雨のなかを
蚊柱が
狂ったように うごめいていた
誰かが
地上の火を
消そうと
とてつもなく
大きなバケツをかたっぱしなから
ひっくり返している
夜
抗えないものをか ....
スーパーで並んでいたときのこと
小学校一年くらいの男の子が
母親とおぼしき人に
何やら言いに行ったかとおもうやいなや
ばしっと音が響きわたるほどの勢いで
頭をはたかれた
理由はわか ....
夕闇がやってくる気配
それは決まって
南向きの玄関の隅から生まれた
冷えていく板張りに寝転がって
図書室で借りてきた本を読んでいると
ふいに呼ばれる
声、
のようなものに
夜が
....
冬の肌は
こわれもの
夕餉の火を落とし
手にたっぷりと
クリームを塗る
ひび割れから
そっとしみこむように
日常というものは
重力がある限り
何処に行ったとしても
そう変わ ....
土踏まずの深い足裏で
たわわに熟した葡萄を踏みつぶす
たちどころに
赤紫の液体が
{ルビ箍=たが}で締められた
大きなたらいの中でほとばしる
秋の森は
少年と少女の息遣いで色づき
どこ ....
腕がある
脚がある
カラダがあって
心臓はこの辺だろうか
洗濯物を干しながら
幸福感に包まれる
よれてしまった襟だとか
落ちきれてない染みだとか
ゴムの伸びたパンツだとか
新品で ....
閉じられた瞼は
眼球にやさしくかけられたさらし布
或いは
フリンジのついた遮光性の高い暗幕
時折
なにかに呼応して
波打つように
揺れる
ベビーカーのハンドルに止まったちょうち ....
女の子の
苗字と名前にある
わずかな空白に
小さな川が流れて
いる
せせらぎのような気安さであるから
そこをいったりきたりすることが
できる
時々流れてくる桃を
無邪気に拾って遊んで ....
廃屋になる少しまえ
きみょうに やねがかたむきはじめた
それは ただのきっかけだったが
終わりまで止むことの
許されない
狂ったアリアだった
ちょうつがいが蝶に戻って飛び立つころ
えんき ....
ひらがな、が落ちてくるように
迷いながら雪が降ってくる
日本にちりぢりになった
あ、い
どれだけのあいの組み合わせが
あるのだろう
やがて
あ、と、い、は
溶け合って境界線をなくす ....
記憶はなにを食べて生きながらえているのだろう
指先から冷えていくのを彼女はまだ気づいていない
埃を吸ったあとの掃除機をそっと抱きしめる
モーターの余熱が伝わって やっと明日につながる ....
線路の上をただひたすらに走る毎日は、それが仕事とはいえ時につまらないものに見えてきます。
そんな時でした。あなたに出会ったのは。
午前八時三十五分、あなたは反対車線からやってきます。
マ ....
治りかけの小さな傷は
ちょっと痒くなる
我慢できなくなって
その周りをおそるおそる掻いてみたりして
治ってしまえば
こんな小さな傷のことなど
きれいさっぱり忘れてしまうだろうに
....
夏を待つ間
透明な
ガラスのコップに
冷たい水を注ぐ
満ちていく
満たされていく
透明な入れ物に
透明の中身で
夏が来る頃
どこからともなく
水滴が現われて
コップの魂を ....
おじいちゃんと森で薪を拾う
僕が手当たりしだいに
背負子に放りこんでいると
そいつはまだ早いと言う
幹を離れてまもない小枝は
水分を含んで
みずみずしい
生木の範疇を出ないものは
....
犬の眼をじっと見つめていると
黒々としたその瞳から
哀しみだけが
滲んでくる
犬は
なぜ自分が犬であるかを
きっと知っている
遠い昔
野生を
人間の為に捨てた存在
自由よりも不 ....
美しい指を
持つものがおりました
絶望の夜
静かに瞬く
光と光をつなげて
星座をつくりました
美しい指を
持つものがおりました
歓喜の朝
深く広がる
闇と闇をつなげて
瞳をつ ....
たたみ一畳あれば
Iの字に寝そべれる
――静止
二畳あれば
大の字になって
寝返りもできる
――開放
半畳あれば
膝を抱えて
あなたのことを
想うことが ....
山人さんのそらの珊瑚さんおすすめリスト
(85)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
夏をしまえば
-
そらの珊 ...
自由詩
10*
20-11-26
暮れるのがはやい
-
そらの珊 ...
自由詩
14*
20-9-30
空耳
-
そらの珊 ...
散文(批評 ...
8*
20-7-20
花言葉ダイアリー
-
そらの珊 ...
自由詩
15*
20-6-15
トランジット
-
そらの珊 ...
自由詩
16*
18-4-22
竹の子の皮をむく
-
そらの珊 ...
自由詩
17*
17-4-14
夏のスケッチ
-
そらの珊 ...
自由詩
15*
16-9-1
コピーアンドペーストエンド
-
そらの珊 ...
自由詩
23*
15-9-2
夜更けの紙相撲・今日もどこかで雨が降る
-
そらの珊 ...
散文(批評 ...
6
15-7-3
白菜白書
-
そらの珊 ...
自由詩
21*
14-12-4
猫_【詩サークル_群青_八月のお題「猫」から】
-
そらの珊 ...
自由詩
22
14-9-16
小鳥の歌_【詩人サークル群青・七月の課題『歌』へ提出作品】
-
そらの珊 ...
自由詩
28*
14-7-23
蚊柱
-
そらの珊 ...
自由詩
18*
14-6-10
ただそれだけのこと
-
そらの珊 ...
自由詩
20*
14-2-22
夕闇
-
そらの珊 ...
自由詩
25
14-1-16
こわれもの
-
そらの珊 ...
自由詩
22
13-12-24
葡萄酒
-
そらの珊 ...
自由詩
20*
13-11-1
【ベランダに吹く風】詩人サークル「群青」七月のお題「風」から
-
そらの珊 ...
自由詩
18*
13-8-4
おさらい
-
そらの珊 ...
自由詩
26*
13-6-8
川岸にて
-
そらの珊 ...
自由詩
18*
13-3-20
アナザー_ドア
-
そらの珊 ...
自由詩
17
13-1-19
ひらがな
-
そらの珊 ...
自由詩
28*
12-12-20
自家中毒
-
そらの珊 ...
自由詩
16*
12-12-3
午前八時三十五分、恋に落ちて(掌編小説)
-
そらの珊 ...
散文(批評 ...
5*
12-12-2
メモワール
-
そらの珊 ...
自由詩
33*
12-10-3
初蝉
-
そらの珊 ...
自由詩
23*
12-7-18
小さな森
-
そらの珊 ...
自由詩
25
12-6-4
MY_LIFE_AS_A_DOG
-
そらの珊 ...
自由詩
23*
12-5-26
美しい指
-
そらの珊 ...
自由詩
9*
12-5-6
藺草仕様のフェルマータ
-
そらの珊 ...
自由詩
6*
12-5-4
1
2
3
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