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その日、ボロアパートの一室に帰って来ると、玄関のドアを開けてすぐに、花が一輪投げ捨ててあるのを見つけた。俺は一人暮らしで、花などには興味がない。従ってこれがなんという花なのかもわからない。花を持っ ....
時刻は午後四時で、僕は見知らぬ部屋の中に居る、マンスリーマンションのような、生活に最低限必要なものだけを揃えた味気のない部屋の中だ、玄関を開けるとすぐにキッチンがあり、木枠にアクリルガラスをはめ込 ....
干乾びた野良犬の死骸と、ひび割れた路面の暗示的な形状、捻れて消える泥酔した下層階級者の夢があとに残すものは、ショー・ウィンドウの微かな脂の染み、カウント・アウトのような潰れたカフェのテントが風に煽 ....
特にこれといって上手く続けられる仕事もなく、思い出したように働いては数日後には辞めている俺たちにとって、のんびりとしけこめるモーテルなんかあるわけもなく、だから俺たちはいつでもなんとかガソリン代だけを ....
それが本当に眠りだったのかと問われれば俺は分からないと答えただろう、現実なのか、それとも夢の中に居たのか、釈然としない何時間かが過ぎて、夢遊病者のように俺は服を着替えて外へと彷徨い出た、それは本当 ....
世間、世間、世間世間世間、あんたら世間好きだねぇ、世間っていったい何だい、そいつは実体のあるものかい?そんなにムキになるくらい、素晴らしいもんなのかい?まったくどいつもこいつも二言目には世間ってそ ....
あとは標的を見つけるのみ、といった感じの鋭角的な光線は、ちょうど天井の一角を貫こうとでもするみたいに壁を走っていた、がらんとした部屋の中に突然展開されたそんな光景は、時代錯誤なパンク・ロックバンドのジ ....
ロザリーは十五才
廃業したスクラップ工場の敷地の外れで
ハーケンクロイツみたいなかたちになって転がってる
もう腐敗が始まっていて
あらゆるおぞましい虫に集られて喰われている
ささやかな雨 ....
ちょっと焦げたピーナッツバターが乗ったトーストとカフェオレの為ならなんだって出来る、とマリはいつもふんぞり返って話してた。「あたしにとって人生で大事なものはそれだけなのよ」って。実際、一日に二回(朝 ....
昨日の雨が水たまりのまま凍りついた海沿いの二車線は
曇り空の下で果てしなく寒々しく
わたしはブーツの滑り止めの具合を確かめてから
葬列の最後尾に着くみたいに歩いた
水平線は薄明りと虚無に飲 ....
忌々し気にジャングルブーツでガードレールを蹴飛ばした女を横目で見ながら今夜の行く先を探してる、夜は突然に身も凍るほど寒くなり、そしてポケットには僅かな金しかない、一時間でいい、ほんの少し腰を下ろし ....
どうにも目がさえて眠れないので
今日の夢をゴミ箱に捨てました
今日の夢は泣いていましたが
何も言わずにゴミ箱に蓋をしました
ひとは残酷ないきものです
ティン・マシーンを聴いていてふと
....
叫びは暗闇に飲み込まれ、おれたちは
財布を落としてきたみたいな心もとない気持ちでいる
神さまは金持ちにだけ整理券を配り
おれたちには聖書みたいに硬いパンを施すだけさ
適性検査を受けて戦いに ....
苦しみの記憶のように手のひらは赤く血走っている、毛細血管のなかを歪みが駆け巡っている、おれは繭のようになにかを抱えようとした姿勢で横たわっている、脳裏には真っ白い壁を放射状に散らばっていく亀裂のイ ....
ふたたび目覚めたときには
世界は様変わりしているだろう
おまえは目を見開いて
そのひとつひとつを心ゆくまで確かめることだろう
進化の過程に
われわれは必要ない
疑似餌を食らった ....
濡れた草のにおいがする薄暗い路地で
過ぎる時を噛み砕くように佇んでいる女
背骨の終わるところまで伸びた黒髪に表情は隠れて
これまでに一度だって見たことはなかったが
捩れた棒状の飴みたいな身 ....
いのちは
こころのかたすみで
ふるえながら狂っている
枯れた木が
記憶だけで
まだ水を吸い上げようと
こころみているように
まともなあんたは
ひびわれた ....
枯れてしまった花々が横たわる道端で
明日来るバスを待っている
夕方まで降り続いた雨のせいで
街は水のにおいがする
ターミナルのベンチはわたし一人
これ以上誰もやって来ることはない ....
猥雑な今日が
冬に凍りつき
床に転がされている
意味など
求めなくなった
そのほかの
どんなものにも
そんな気づきが
人を
どこかへ連れて行ってくれるなんて
寝言も
いい ....
夏に
その場所に貼りついて
そのまま
息絶えた
ひとりの蛾が
いつしか淡い影となって
冬には、なくなった
それはありふれた風景だったし
毎年のように
繰り返さ ....
夕月が
悲鳴をあげているような赤
骨の色に似た電柱の上で
闇のようなカラスが羽を休める
よどんだ、生温い空気の
送り主を忘れた鎮魂歌のような始まり
血液は半睡の眼と同じ ....
亀裂から伸びる欠片の先端から昨夜の雨が祈るように滴っている廃屋の雨樋
海からの風が雲のどてっ腹をぶち抜いたみたいな紺碧の下で
いまだ同じ場所で彷徨い続ける俺の脳髄は一瞬
開か ....
息もないコールド・スリープの午後
艶かしい女の身体と
ゴキゲンな薬の夢
乾いて
ひび割れた皮膚の上で
上がり始めた熱が止めをさす
きみの手のひらの中、も ....
色褪せ、草臥れた雑草の中から、あの子の可愛い手の平が少しだけ覗いていて事態はようやく動き始めた、おとなたちが騒ぎ、こどもたちが泣き、見つけられた子の両親が呼ばれた、検査の結果残酷な ....
遠い世界の音
聞かせて、僕の耳に
失われた、古代の
あるいは、未来でもいい
遠い世界の音
聞かせて、僕の耳に
無理矢理に心臓を
捻じ曲げるような夜中
薄暗が ....
降りしだく夜など
しのぐ傘はなく
暗闇にずぶ濡れて
たましいが真黒だ
蓋をされた井戸の底だ
崩落した坑道の中だ
古臭く言えば
丑三つ時というあたり ....
では、ぼくの友人の話をします。名前を仮にNとしておきます。明るい、いいヤツでした。Nの実家は県境の山のすごく奥の方で、高校のときから市内に出てきてひとり暮らしをしていました。生物が好きで、生 ....
このぼくのこころは
このぼくの鼓動は
このぼくの興奮は
このぼくの足跡は
衝動は
焦燥は
終焉は
再生は
あたらしい言葉を
燃やせば
古い皮質が ....
無作為過ぎる
光線の向こう
落ちた椿と
濡れた路面
道路わきのドライフラワー
いくつかのスナック
そこに佇んでいるのは
たぶん年端もいかない子
....
きみの手を引いて
日がしずむ方へと川べりを下っていくんだ
すごいだろ
すてきだろ
たえまないせせらぎが聞こえて
ずっと向うのカーブから
潮のかおりを連れた風が吹いてくる
....
山人さんのホロウ・シカエルボクさんおすすめリスト
(59)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
どうか咲いていて
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ホロウ・ ...
散文(批評 ...
4*
22-12-12
交信は不可能
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ホロウ・ ...
自由詩
4*
22-4-26
重度のシンコペーション
-
ホロウ・ ...
自由詩
1*
22-2-13
ボロボロの壁
-
ホロウ・ ...
散文(批評 ...
4*
22-2-6
希望だったけれど叶わなくてもよかった
-
ホロウ・ ...
自由詩
2*
21-12-12
頼むから一人にしてくれ
-
ホロウ・ ...
自由詩
6*
21-11-27
光を避け
-
ホロウ・ ...
自由詩
4*
21-8-8
ロザリーはスクラップ工場の外れで
-
ホロウ・ ...
自由詩
7*
21-3-14
ピーナッツバタートースト
-
ホロウ・ ...
散文(批評 ...
4*
20-12-11
過去の歌、散らばる道
-
ホロウ・ ...
自由詩
5*
20-11-19
ほんの、少しだけ濡れた
-
ホロウ・ ...
自由詩
2*
20-11-4
夢を見るのは悪いことではないけれど
-
ホロウ・ ...
自由詩
12*
20-7-19
ロックンロールはだれのため
-
ホロウ・ ...
自由詩
8*
20-6-7
陽炎のような真実の重さを
-
ホロウ・ ...
自由詩
3+*
19-12-29
死はない、死はない、知らない
-
ホロウ・ ...
自由詩
4*
19-12-15
路地で立ち止まっていたナミ
-
ホロウ・ ...
自由詩
3*
19-11-17
あらゆることが語り尽くされたあとに
-
ホロウ・ ...
自由詩
15*
17-12-1
夜明け前、記憶の中で明日を
-
ホロウ・ ...
自由詩
10*
16-5-2
不眠の内訳
-
ホロウ・ ...
自由詩
5*
16-1-27
ガ
-
ホロウ・ ...
自由詩
4*
15-12-24
いまだ降る光のレイン
-
ホロウ・ ...
自由詩
4*
15-10-21
真昼のプラネタリウム
-
ホロウ・ ...
自由詩
5*
15-5-11
オーティスをシンパシーで笑い飛ばしながら、それでも。
-
ホロウ・ ...
自由詩
10*
15-5-4
ミーナ
-
ホロウ・ ...
自由詩
2*
15-4-2
真夜中、白昼夢を見て。
-
ホロウ・ ...
自由詩
4*
14-11-28
冷たい血のささやき
-
ホロウ・ ...
自由詩
2*
14-5-10
人魚
-
ホロウ・ ...
散文(批評 ...
4*
13-5-13
生きてるかぎり書けるもの
-
ホロウ・ ...
自由詩
9+*
12-5-14
閉まるドアと開くドア
-
ホロウ・ ...
自由詩
6*
12-5-5
フォーク・ソング
-
ホロウ・ ...
自由詩
3*
12-5-4
1
2
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