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ある日70メートル離れて後を付いてゆく 。
ボルカ氏の散歩は奇妙だが目的地はちゃんとわかっているつもりだ 。
ゴチャゴチャした秋葉原の街。ぐるぐるとまるで空っ風のように旋毛曲がりに通り ....
何かしら対価を見出したので愛するんだと思う
男のひとなら性欲の捌け口だとか
下心で膨らんだ股間を隠し
君だけを愛しているなんて恥ずかしくないのかな
女のひとだとしたら
無性に巣篭もり ....
くちびると舌でつよく吸った
おまえからの写メを見つめてる
あかい地球につながってゆく
漂ってあかい地球に浮かんでる
かるく閉じたおまえの目
くちびるが
ちいさな ....
通り沿いにガラス張り
湯島のちいさな洒落たカフェ ペグ
オーナーの娘だろうか店員女性にときめくわたしは
「おはようございます。玄関マットの交換です!」
の発声加減については役者なみだ
マ ....
電車のホームに自らを叩きつけるようにおりた白い紋白蝶は風に吹かれて響くように揺れながら嵐のように揺れながら蝶のように美しく軽く軽やかな足取りの女の黒いヒールの爪先に踏み潰された。
朝の光のな ....
私を追いかける影が
夜の音を奏でながら
二つ一つと距離を壊す
崩れそうな私がささやく
「もうそろそろ
殺してもいいでしょ?」
私には出来ない まだ出来ない
私を優しく包む闇が
....
今年最後の林檎もぎの日は晴れて
山に建つ我が家では霜が降り冷たかったけど
生まれた家の近くの林檎畑に長靴で行くと
陽気で 草露になっている
十月の葉取りから会社の休みには手伝い
雨の日は ....
水平線に身をゆだねて眠っている
海面は揺りかごのようにゆらゆらと子守唄をうたう
水温はいくらかぬくもりを帯びてわたしを包む
羊水、とは確かにちがう
わたしと海の関係は、母と子という繋が ....
店内でお召し上がりですか は
こちらでお召し上がりのご予定ですか となり
お席へご案内いたします こちらへどうぞ についていくと
わたしは厨房裏口から外へ出た
これは これは面白い
....
雨に濡れた頬も現実味を失い
胸に残る
鋭さを増した痛み
確かな傷痕
手の届かない方へ消えていく
長く伸びた影に
小さくさよならを
世界を欺いて
偽物の愛に
身を焦がし ....
哀しき俗物
ロバヲくんは詩的なんである
つねづね自分でそう思うから
ロバヲくんは道徳好きなんである
道徳は安全かつ安心だから
ロバヲくんは理想家なんである
方法論については考えたことも ....
背のちっちゃな女の子
男好きのする笑顔が印象的で
逢う度に違う男の子と一緒だった
背のちっちゃな女の子
いつも彼氏の背中に隠れてた
風が吹けば彼氏の体を風避けに
雨が降れば彼氏の差した ....
村田さんと 大谷さん(17歳〜27歳の女子2人組)
『 ヒーローインタビュー 』
* : * : * : * : *
村:もし男に生まれてたら 何になりたい?
大 ....
空を見上げた
ひつじみたいな雲が浮かんでた
真っ白で機嫌が良さそうな雲だ
空を見上げた
飛行機が音を立てて飛んでいた
僕が見たことのない国に行くのだろう
空を見上げた
天使がふわ ....
台所が火事で燃えている
私が寝ている間に火が消えてくれるだろう
そう思って寝ていても
火は消えなかった
もうかれこれ
半年になる
強風が冬を迎えにゆき
冬を連れて戻ってきた
....
赤く染まる
芥子の花が咲き
乱れる
どこまでも続く
白い墓標の列
海鳴りの
やむことを知らぬ町
忘れようとしても
消え去らぬ {ルビ戦跡=きずあと}
{ルビ頭 ....
主のいない広い屋敷に猫を一匹放したまま、今日だけは檻から出していてやろう
俺はひとりいつものあばら家で寝る
おまえも淋しいだろうが、俺も寂しいんだ
寂しいもの同士はやはり離れて寝るもん ....
いまにも降りだしそヲ、
降りだしそヲ、
降りだしそヲ、
降りだしそヲ よ
あの
雲 底
( )
( ) ....
ほんの少し
ほんの少し
歩幅が違っていただけだよ
ほんの少し
ほんの少し
呼吸が違っていただけだよ
あなたが優しいこと
あの子も知っている
あなたの痛み
あの ....
非常階段に隠れる
息をひそめて隠れる
誰も来ない秘密の場所
静かな安らぎの場所
遠くで犬が吠えている
でもここでは関係ない
のんびりと煙草を燻らす
悪意の雨も関係ない
....
お前の髪は
月の雫に青く濡れて
俺の瞼を鼻先を、
腹を冷たく流れて行った
お前の白く滑らかな
体をなぞって行くと
掌に吸い付く曲線はさざ波を立て、
まん丸い乳房は大きく揺れて指から溢 ....
タクラマカン砂漠はどこにあるのでしょうといった
あたりさわりのない会話を通じて
電話番号を聞き出すことに成功するので
あとは メールすると
食事に行けるから
そこで
ケーキをおごったりする ....
若かったころひとりで
たいていひとりで
ひとりはひまなので
余計なことばかり気になって
寝転んで涙
耳に入ったまま起き上がって
肌がきれいな
童顔男子にひとめぼれ
それから
....
或るあさ、
女は目に涙をため
「わたしにできるせいいっぱいをつづけていきます」
と言った
聴衆はそれぞれ自分に都合のよい欲望を見出し
彼女に拍手喝采を送った
或るひる、
女は目に ....
自分が木螺子だと気づいたのは
空の水が全部落ちてきたような
凄まじい雷雨が通り過ぎた後だった
公園のブランコの下の水たまりに
たまたま自分の姿を映した僕は
ほんの少しだけ驚いた
で ....
空をなぞって
言葉がはじけていたのは
少年だった頃
女の子がおはじきに
言葉を色分けして空き缶に詰めていった
夏の海に帰る前に
すき
という二文字が ....
いろいろ伝えたいのに
この言葉しか書けない
それが悲しくて泣いた
うつろな視界の外側で小鳥の囀る気配
ひとしきり肩の上を行ったり来たり
動こうとせぬ私の様子をいぶかしく感じたのか
右の頬を軽く啄み樹海の奥へと飛び去った
時の感覚を失う
それがこんなにも ....
なまぬるい風に
ウエルニッケ野原はがらんどう
すずめを いちわ
ちからまかせに
にぎり もだえる
臨月まぢかの手(うで)をひろった
縄をまわし
大地に丸太をいくつもしいて
石油コン ....
十一月の凛とした
午前のひかり、風、匂いのない匂い
カーテン越しでさえ
きみの部屋を充たしている
カーペンターズが流れている
ノンビブラート
体温を超えることの ....
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