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お喋りふえる昼下がり
乳母車がやってきた
子鬼百匹のせてきて
笛太鼓が踊り狂う
電柱そばの主婦三人
近所の浮気を暴露した
音楽隊のエレキギター
イクラデモ言エチャウワ
私ノコト ....
―離して
耳のツンと立った黒い子犬は
首に腕が回されるたび吠えた
―僕がいると
余計に泣かしてしまうから
犬小屋が空っぽになるのを恐れ
子犬の声まで鎖をかけられていた
....
私の背中に包丁を入れてください
あーそこそこ
丁度かゆかったんです
そのまま まっぷたつに
お願いします
キャベツというのは
幾重にも丸まって
ドカンといるでしょ?
自分が大きくな ....
言葉足らずだと
「何言ってるか分からないよ」と
柔らかくなる目と真っ直ぐな背中を
変なことを言うと
「え、どういうこと?」と
上がる眉毛とかしげる首を
夕日がきれいというと
「ほ ....
私たちはつながっている
滝つぼでせめぎあう水のように
ときには去りかけている手を
つかむように
私たちは引き合っている
玄関にあるクツや
座っているイスのように
それは確かなこと
....
ここに今
セミのヌケガラがあるからといって
私だと思わないでください
私はそれがないところにいます
陽ざしの中で
水の粉しぶきをあびた
綿毛の舞う先に
私はいます
私は
いま死ん ....
ある人はいう
空がくらくなるのは
日が眠るときに
よく眠れるように
空があかりをおとすからだ
と
ある人はいう
空がくらくなるのは
日がさるときに
次に会う瞬間を
空が恋こがれ ....
最後のしずくが降りおちて
世界のざわめき いまおわる
迎えるものは光だけ
あついくもが はれるだけ
すべての命がまち望む
切り開かれた雲をぬけ
ぬくもり伝えにやってくる
それできる ....
つながりと呼ばれるもの
つかむと消える不確かなもの
近づけば近づくほど感じる距離
つなぐものなどない
人であるための限界
肉体に宿る 精神の限界
混ざりたい
二人でいたくない
溶け ....