.
旅立とう言葉の彼方へ
開け言葉の前への扉
目を瞑り 口を閉じよ
堆{ルビ=うずたか}く積まれたぼくら
の時代の言葉 先祖たちの
言葉の渦を踏み越えて――
.
言葉の煉瓦を積 ....
*
誰しもが寝静まる夜中にひとり風呂に浸かるわたし
それは
ぼんやりと黄色い灯りにきらきら輝く夢の粒をみるわたし
薄汚れた鏡に張りついた滴のわたしが不幸に見えるのは、もう一人の ....
まちつづけちまった
への口
みどりの窓口へ
(2010・12・15mixi)
隙間から押し寄せる波が
文庫本の栞を
何に使うのだろう
一枚さらって
もとの海に戻っていく
生き物の柔らかな陰影
そのようなものがあると
いつまでも
触れていたくなる
....
出会ったその時から
きみとぼくは
別れるのが当たり前で
目的地に向かう飛行機の中
引き返すことも出来ず
ただ
悲しみの待つ飛行場に着陸する時を
出来るだけ感じないように
ただ一 ....
めぐりながら彼女はじぶんの声を聞いていた
欲しいものはそこにあるのだろうか
ぼくはどきどきしながら周りをうろついた
そこにあるすべてが彼女を祝福していた
それを彼女はたぶん ....
ひとみを閉じていればいい
こころを閉じていればいい
電車が通過する前の
空気と地面の振動が ....
雲ひとつない
晴れやかな笑顔の
青空を
穴の開いたスニーカーで
堂々と歩く
途中
見えない遮蔽物を越え
見えない恐怖心を捨て
先々で
訪れる景色
発生する出来事
すべてが ....
自転車を猛スピードでこいでしまう
毎日の生活がある
自転車をゆっくりゆったりと漕ぐ
あきらめとゆとりの生活がある
ぼんやりと歩く散歩の中で
見えてくる気づきがある
気づいてしまう
....
パチンコ玉いっこ
あいつのおきみやげ
シーツのうえ
ぎんぴかり
パチンはじいて
ゆびいたかった
パ
てのひらひらいて
パ
むすんでぬすんでチンコ玉
パ
チンこんやつきありて
たまたまのまたがおこしに ....
はねるはじから
ためゆく
え
ころがるさきに
うさぎの穴あり
(2010・12・8mixi)
あの日、渡り廊下で
君が教えてくれた蝶々むすび
不器用にからまった
よれよれの僕をほどいて
結び目にちいさく
幼い指で
魔法をかけた
片方だけ小さくて
いびつなハネ
それでも ....
何処までも高く投げたはずのボールが落下をはじめ
それを静止した瞳で追う
身を預けた椅子が軋む音
カフェインの色で染まる部屋
身を預けた骨の軋む音
カフェインの色で染まる声
脳が死ん ....
.
流沙{ルビ=ルサ}の流れの畔{ルビ=ほとり}にて路と路とが出会う
壘壘{ルビ=るいるい}たる碌碌たる峨峨たる崟崟{ルビ=ぎんぎん}たる
地の波浪が固結したような岩頚の列なりと
地平にまで広がる ....
よく泣いていた
眠るまえ泣き
屁理屈に抱かれて眠った
それを繰り返していた
そうしているうちに
かなしみと添い寝できるようになっていた
泣こうとしたらいくらでも ....
たくさんの
たくさんの
たくさんの自分がいる
たくさんの
たくさんの絶望と希望と私
詩人でない私人の私
たくさんの
たくさんの
絶望から生まれた
たくさんの
たくさんの
....
早いもので
もう
師走ですなあ
スキンヘッドに眉剃った
袈裟着た師が
猛ダッシュで
次々と
どぶに落ちますわなあ
ところで、わたくし
二十歳で童貞を失ってというもの
女川を流れ ....
祭りの中を絶望しながら歩いてる
まことに不謹慎で迷惑ながら
祭りの中を絶望しながら歩いてる
こんなはずじゃなかった
絶望してるから一人でとぼとぼ歩きたかったのに
まさかの祭りに巻き込まれて
....
こころがふるえず
それでも
息をしている
それは
一滴の涙も許さなくなり
やがてはそれさえも
見当たらないのは事象
ではなく
動かないのは現実
でもなく
閉じたりふ ....
旦過市場を抜けたはいいが
山を越え
谷を過ぎ
ここはどこやねん
ぐるぐるぐるぐる
廻る道
これがニーチェの言っていた
永劫回帰か
あほんだら
と
天と地におけるありとあらゆるも ....
いつからか小鳥が来なくなった
名も知らぬ小鳥たちが
毎朝訪れ、よちよち歩いているのを見て
囲いのある私の生活も
悪くないと思えていたのに
いつからか朝の声はしなくなっていた
流浪の ....
ひとりでふたりぼっちになるよりも
ふたりでふたりぼっちでいるほうが
あったかくてやさしくてなつかしい
今という時間に
ふたりでいれば
集中できたんだ
ひとり ....
舐め取ってしまいたかった
肌に忍び込もうとする熱を
流れる川に見える反射を
足元に伸びる影の創造主を
(つまり、光を)
一見しなやかに見えるそれらの正体は
水あめみ ....
26年目の記念日
落ち着く和食居酒屋の個室で
あたしは
貴方に
指輪ケースを差し出した
もう一度 はめ直して
いつの頃からか
あたしの薬指には 指輪の跡さえ
なくなってい ....
大すき
って気持ちだけで生きていたいよ
嫌うのも妬むのも恨むのも嫌いさ
だって向いてないみたいなんだ
どんなに憎いと思ってもほら、
もう忘れてる
まじめな人は辛いのだろう
だけど ....
さようならはきらい
またね、はもっときらい
だってどちらも
えいえん、になった
わたしはわたしに
さようならする
だからといって
えいえんにあえやしない
しってるよ
焼酎を
ひたすらに呑む
同じ曲を繰り返し
繰り返しかけながら
お湯割りで
残ったおかずと
煮干しと
白菜の漬け物と
古びた恋の憐憫と
夜の更けるまま
ひたすらに
呑む
すぼまって逝くように
夕闇が押し寄せてきて
怯えた心が微かに震え
満月を待ち焦がれてる
懐かしい古い唄を口ずさみながら
それでも寂しさを追い払えない
それは誰のせいでも無いことぐらい
....
起きるのに
ちからはいらない
仮想と現実のライラック
ひろがりさざなみあう窓辺で
けだるさふくらむカーテンとすこしの
日のひかり
笑い声が怖い
と生まれる七つのせかい
親切が痛 ....
生まれたばかり――
あまりにもまぶしかったので
まぶしい と
叫んだはずなのだったが
揺籃期――
プロレタリア文学だと称する
ひなびた小説を口に入れるが
不味くて ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49