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電車のホームに自らを叩きつけるようにおりた白い紋白蝶は風に吹かれて響くように揺れながら嵐のように揺れながら蝶のように美しく軽く軽やかな足取りの女の黒いヒールの爪先に踏み潰された。
朝の光のな ....
透明な煉瓦の壁をよじ登る 淋しい顔のアネモネの咲く
5センチの距離がただただ遠かった 手を掴もうと力をこめる
ペディキュアは必ず赤と決めていた 戦う心がめげないように
....
女であることを楽しむために赤いルージュを持ち歩く
本来の目的を果たせぬまま、ケンタッキーに向かっている
うじうじの覚悟がなかなか決まらない、甘えてばかりの窓の内側
つ ....
あるかないかの境界線 世界はことばでこうせいされる
くるしいの 後にくるのはなにもないのに そこに名前がほしくなるのは
28 E・ブロンテの死んだ歳 脱バージンのメリットは ....
きいちゃんに花が咲いたよ、久しぶりの電話口の良司の声は無邪気で幸せだった。よかったね、と返しながら私は良司の子供のような声に安堵のような興ざめのような脱力感を味わっている。
きいちゃんは黄色いト ....
靴の中に散らばったいくつかのジグソーピース(履いて出かける)
毛玉のついた毛糸の帽子をすっぽりとかぶる私の頭
発熱する横顔を追いかける冷たいからだ
掃除機で吸い込む埃と誇り(ないと呼 ....
うつぶせになって大きく息を吐くと
風船から空気が抜けるようだった
私の身体には栓が必要
ふしゅしゅー(空気の(抜ける)音)
(3秒の空白)
(3秒の空白)
(6秒分)呼吸を ....
2008年に壊れてしまった言葉は私の中に眠っている
お前なんか嫌いだ
そう言われたとき昔のことを思い出した
ちかちゃんなんか嫌いだ
私は確かに何度も何度も口にした
風船みたいな愛しい ....
冷たさと温もりの色が混ざる道 日なたばかりを選んで歩く
やわらかな風と陽射しの午後の二時 黙った君に少し近付く
雨の前 ぬるい匂いを吸い込んで 家路を急ぐ 青い夕方
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忘れようと 強く強く思うのに
思い出にさえ 笑われる日々
君がもし 覚えていないと言うのなら
忘れてしまえよ 今日の記念日
大切な あなたの生まれた日でさえも
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