よいこともわるいこともあるけれど
よいことを見ていきたい
よいことをひとつでも多くしたい
できることはやりたい
もっとよろこびを もっとたのしみを もっとやすらぎを
....
とくとくとく
ガラスコップ
なみなみ注いだ酒
口を最初に持っていく
そんな奴等が集まる暖簾下
肴は
からっからに渇ききった
それでも棄てきる事のできない夢の断片(かけ ....
オレが中二のとき生まれたおまえ
こうしていることを妻子が知ったら
いきなり難破船に乗らされるだろう
抱きしめるという行為とはいったい
戦争に引き裂かれた愛ではない
切 ....
この蟻の行列をたどっていけば
いつかあなたに行きつくと信じて
念入りに数をかぞえていたのに
砂にかき消されてしまって
どこまで勘定したのか
わからなくなってしまいました
もしかした ....
言えた!
言いたくて、だけど言えなかったこと
ついに言えた!
「お母さん。」
どきどき
「ん?」
「この間は居ないって言ったんだけど…」
どどどどどどどど
ドドド
....
━聞いてな━
なあなあなあ、あんたほんまにうちのこと好きなん?
どうせまた騙されてるんやないのって、お母ちゃんは笑うねん
けどな、うちはあんたのこと
なんでか知らんけど、信じら ....
もう長いこと
ここで漂っています
聞こえるのは
絶え間ない波の音
時々通る渡り鳥の羽音
見えるのは
太陽と空と雲
360度の水平線
たまに遠くで跳ねてる、くじら
一応持っ ....
何故かあのひともそうだった
年上の素敵な奥様がいて
それなりに幸せな家庭を築いていた
そしてそんな男の軽い浮気心に惚れてしまう女がひとり
初めて出逢ったのは真冬に逆戻りしたような夜 ....
どこのひとでもない
という私
普通の会話の中
会社での事
不況の中 仕事があったりなかったりで
決まった担当をはずされ
ある仕事をいただいている
慣れている仕事 慣れていない仕事 ....
忙しい日々から逃れ
疲れた体を暖めようと
平日の{ルビ人気=ひとけ}少ない温泉で
頭の上にタオルをのせて
露天風呂に沈んでいた
ゆげの立ち昇る
水面に
現れては消えてゆ ....
オハヨウが
晴れやかに言えてますか
アリガトウが
滑らかに言えてますか
笑い方が
相変わらず下手ですね
奥歯が
痛いのかと思いました
コンニチワが
軽やかに言えて ....
あの家は
どこに住んでるんだろうね
ほら
ぼくらが
住もうとしていた
あの家は
きみの笑顔のなかかしら
それとも
きょうの
風のなか?
あの家は
どこに
行ったんだろう ....
あ、か、い、ち、
あか、いち、
私 今日女の子になりました
でも私は
自分がこれからどんどん汚れていくのだと
怯えていた
ただ一点を見つめて
あか、い、ゆう、
....
お茶を挽く
この歳になってそんなことばの意味を知る
四畳半にも満たない小さな部屋
気まぐれなエアコンの吐き出す乾いた暖気が
枕元に畳んだ洗いざらしのタオルへ靡く
恋人にしてあげて ....
ねぇ
親からしたら子供はいつまでも子供なんだよ
お母さんはいつもそう言って笑った
私からすればお母さんはずっとお母さんだけど
もういないお父さんはずっと私にとってお父さんなのか ....
おかあさんの ブラウスを 握る
おかあさんの めがねを 握る
握る
おとうさんの 鼻を 握る
おとうさんの 指を 握る
握る
がらがらを 握りそこねた君は
まだ きかない手を 小刻 ....
ただ淫欲だけで
私を捕まえておきたいのなら
私はあなたから逃げます。
互いに幸せではないのなら
二人でいる意味はありません。
愛しているからこそ
あなたには
私を大切に思って ....
「もういいよね」って
風の色を
真似した僕は
揺れる足跡
置き去りにして
手のひらに落ちた
雪が色を
失うような
いつもの道に
残した言葉
ほどけた靴ひもを
結ぶこと ....
あまりにも物悲しいな、 と思いました。
すすきが潤いのない身を擦らせて嘆いております。
彼らはあんなに集っているのに 何を嘆くのでしょう。
あんなに柔らかな太陽の枯れ色を身に纏って ....
かつて
「不幸の手紙」チェーンの途中に
ちょっと独特の
クセ字を書く人がいたらしくて
書き写されるうちに
不幸の「不」の字は「木」ヘンになり
不幸の「幸」はツクリの「奉」になり
いつ ....
お正月ぐらいはと帰った実家で
思いがけず伯父さんからぽち袋をいただいた
幾つになっても嬉しいものは嬉しい
おめぇにもやっからよ
おとそ気分全開な赤ら顔は楽しげに
崩したあぐらはすっか ....
明ける年に
拍手するのではなく
暮れていく年を
ゆるやかにゆるやかに
見送ってゆく
午前零時を
もう少しで回ろうとする
時計の針を
まばたきもせずに
見つめて
となりで眠る ....
強引なわりに
照れ屋さんで‥
甘えん坊なくせに
強がってしまう君‥
『たまには素直に
甘えていいんだよ』
‥なんて
言わないよ
強がる君が
大好きだ ....
ここで暮らしていたことが
夢のよう
いつかそうなる日が
来るとわかっていたから
やさしさは
やさしさでしかないことも
知っていたから
ただ祈るしかなくて
今も祈ることしかでき ....
黒髪にいたしまして
お母さま喜びまして
スーツを一着揃えまして
デキル私になりきりまして
シュウカツカツカツ
ハイヒールと
シュウカツカツカツ
ペンの音
順風満帆だった漕ぎ出し ....
星降る夜にちいさな灯りがぽつん
ちいさなお家で
窓の外にも聞こえてくる
若夫婦が楽しそうにおしゃべりしているよ
プチプチリルレ
プチリルレ
ここは とってもおいしい と
評判のち ....
時々思うんだ‥
実は 人間って
卵で産まれてるんじゃ
ないかな‥って
肉体は
単なる殻(容器)で
魂(精神)こそが
本来の人間の姿
いつか 魂が
肉体 ....
キコ、あの頃みたいに
カッターナイフ遊びがしたいよ
廃校の裏に捨てられた注射器に
ためた雨水を夕陽に透かせば
遠い異国へ運んでくれる
琥珀色のモルヒネになったね
キコ、無人 ....
貴方の心‥
静謐で柔らかな“白”に
冷たい孤独の“黒”が
いくつも
突き刺さってるみたい‥
貴方の“黒”を掴み取って
ガリガリと
噛み砕いてあげたい‥
切れた口 ....
じれったい指先は
弾くように
摘むように
ただ
じれったいままに‥
すぼめたくちびるで
痺れるような
熱い吐息
私の瞼に
そっと そっと
押し当てて欲しいの‥
....
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