かくしごとなんて
はじめからなかったはずなのに
生きてると
知られたくないことの
ひとつやふたつあるものでした
できることなら
椅子に生まれて
何も思わずにただ生きて
人を支 ....
先月開店したばかりの
真新しいコンビニの店内に
入るとばったり
大きいふたつの瞳と
目が合った
「 おぉ 」
小学校の同級生のともこちゃんは
すっかりいいお母さんに ....
鼓膜から吸収されるドラッグに形は無い
振動による物理作用が精神をROCKするからだ
パッケージングされた{ルビ美術=アート}のみが許される社会
クラシックの{ルビ焼き直し=カバーアル ....
気配を感じて
うなじの毛が立ち上がる
背後を探る 自分が持っているはずもない感覚を指し伸ばして
気配は やってくるのを待つしかない
訪れは 待っていないと やってこない ....
ご飯を食べられないから
せんべいと
ミネラルウォーターだけで
生きてみようと思う
というとあなたは苦笑して
もっとやせるよ
と言うんだった
冗談ではなくて
吐いてしまうのだと話すと ....
わかってたよ
そうだね、
君は優しいから
いつでも君のが
うわてだった
そうだね、
心を許しすぎた
安心しきっていたんだ
わかってたよ
君 ....
好きな人が生きていた
何度も死ぬと、言っていたのに
ばたりと出合った街の角
生きていないのかもと思っていたのに
生きていたから悔しくなった
生きていたら言うことを
たくさん抱えた唇 ....
そのまま に そのまま で
手はそこに あった
そのまま に そのまま で
足はそこに あった
白い殻の向こう のすぽんじ物質
ちょっといいにおいがして
はしでつまんであげて・・・
かさ ....
あったかい
コーヒーをいれると
たちのぼる湯気が
これから訪れる真冬を
描きはじめたようで
こくりと
一滴、口に運んでみるけれど
そんなわたしの隣で
遠い春を待ちながら
しれっと
....
こばむように
ゆれていたんだ
ある日
あなたの繊細な肌にふれて
かみさまをはじめて
尊敬した
とくん、とゆれる
脈を
にんげんのものだと、おもえなくて
いちにちも ....
悲しいときにうたうときがある
嬉しいときにうたうときがある
少しむかしに流行ったような歌
けしてうまくはないけれど
とどめるようになだめるように
うまくはうたえないけれど
悲し ....
買い物に出かけた初冬の街角で
あのひとの姿を見かけた
両の手のひらをパンツのポケットに入れ
開店前のパチンコ屋に並んでいた
私の姿に気付くこと無く
他愛も無い夢と引換えに大切なものを ....
冷たさが空を行き交い
街路樹震える夕暮れに
一つ伸びた影を踏みつけながら
辿る家路はいつも寂しい
今日もまた自分を蔑みながら
紛らわした孤独に積み重ねた後悔を
一杯の冷酒で紛らわした帰 ....
震える指先を
ポケットに滑り込ませたら
捨て損ねたレシートが
指の間で微かに笑った
不確かな足取りで
迷子のふりをしながら
逃げ損ねた枯葉を
靴の踵で踏みにじった
丸めた背 ....
私の右頬には
すぅっと一本の線があります
おさないころ
北海道でも有数の豪雪地帯に住んでいたころ
いつものように、母は
空とも陸ともつかない厄介な白と闘っていました、必須アイテムは
鉄 ....
「この病室は、眺めがいいねぇ・・・」
ガラス越し
輝く太陽の下に広がる
パノラマの海
ベッドの上で点滴に繋がれて
胸の痛みに悶えながら
なんとか作り笑いをする祖母をよそに ....
「すきだよ」とか
「そばにいてよ」とか
「会えないときもお前のこと考えてるよ」とか
嘘つき
本当はあたしのことなんか
ちっともすきじゃないくせに
すきだけど
すきだけど
....
わたしはタクシードライバーだから
金曜日の夜は大忙しだ
居酒屋からラブホテルまで体を送り
今度はラブホテルから自宅まで
同じ体を運びこまされなければならない
彼らが出ていっている間
わ ....
許されることのない光を
追いかけていた
誰かを踏み台にして息をすることが
器用に生きることだとは
信じたくなかった
胸が気持ち悪くなった
いつまでも流れる雲を
....
やせぎすの背中が
たぶん好きで
ぼくは隣にいることが
もったいないような
そんな気分を抱えたまま
あなたとセックスは
できなかった、という
....
木々は空の下で動かず
静寂は燐と張り詰める
僅かに震える街灯の光は
夜となって歩道に落とされる
昼の間、風と共に遊んでいた白い雲は
いつの間にか隠れてしまった
暗闇の中で研ぎ澄まされる
....
授業を終わらせるチャイムが僕らに
仕舞い支度を促し、先生は
名残惜しそうに黒板の裾に触れて
開いた小さな穴へと3色の
チョークをぽとりぽとりと落とす
号令にやる気なく起立する僕らは
椅 ....
ポケットの中
甘い匂いのそれ
本当は
全部あなたにあげたかった
弱かったんだね
不思議なポケットも
叩き割る勇気も
あの時の僕は持ってなかった ....
心は 治るのでしょうか
身体は 治るのでしょうか
眠れずに迎えた土曜日の朝
雨は降り
雨は降り
いっそ私の泥も
流してもらいたいのです
心は 治るのでしょうか
身体は 治る ....
ごめんな
ごめんな
痛かったやろ
ちゃうねん、お母さん
おんぶしたろって思っただけねん
だって、まだちっちゃいから
車が多いとこは危ないかな思ってん
道路の真ん中で
落 ....
ねぇ、航海しない?
突然のことで驚いた?
こんなこと言うなんて意外だった?
ううん、特に理由は無いんだけど
今日はすごく天気が良いからさ
ねぇ、航海しない?
突 ....
{画像=080907104708.jpg}
神社の縁の下は雨宿りの場所で
みんなの隠れ場所だ
賽銭箱の階段の脇から入って
宝物を蜘蛛の巣の奥に隠した
捨て犬も捨て猫も一緒に連れ込んだ
....
あんまり人に言えない事をダラダラ書きます。
酔っ払いの身の上話的なモンぐらいに見といてもらえるとありがたいです。
俺ね、来年40です。
残念ながら、独身です。
容姿、収入、性格、タ ....
近所の用水路で小さな魚を捕まえた
家にあった水槽に放し
部屋の日当たりの一番良いところに置いた
魚は黒く細っこくて
その頃のわたしは
なんとなくまだ幼かった
+
....
あなたはそば屋で待っていて
熱燗をちびちびやりながら
私を見るなり、ほっとしたような
困ったような
薄汚れたテレビの中で笑う
若いお笑い芸人たちの姿は
遠い、遠い、都会を思わせる
....
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