すべてのおすすめ
三月とはいえ まだ雪の残る駐車場から
会社の玄関に入ると 大きなスーツケース
今日 帰国する中国の人達の荷物
十名の三年間 勤めた生活がまとめられてある
タイム・カードをおしてロッカーに行 ....
転がり と
あたるつぶて
見下ろし見えるのは
突っ立っている頭
頷かない頭が見返す
あぶりだす熱源の掟
ざわり と巡る血脈
口元に灯り始める気
転がらない
つぶて ....
数字の機械化カラー
うすまるいたまご
星光る夜
あんちょこ どんちょうの隅
かしこまったタクト君
ふられふれれふらら
とけはじめたオイルに
つんとつまれたベイビー
しくじりぎみの ....
こよりのむすびめ
ねじってつないだ
どこにもいけない
かみの おれめ
かくしたことで
かなうというもの
しんじたよるゆび
まだ いきをしている
あめに ゆきに
やぶれておちる ....
土飼いの葉ソリが吹く
赤耳にみかづきクレヨン
地下で数えた爪のおしゃべり
ワン・ナイト
ふさに届いた指に
触らないおとぎ話という
誠実なウソから間違えた
抜け殻の中の蝉
飛んでいく ....
雪が降ってきたので
冬の靴や手袋を用意する
マフラーもと思い
若い頃に編んだものをだす
新婚の頃
夫の帰りを待ちつつ
夜に編んでいた古いものだ
クリスマスのプレゼントに
チョコレー ....
書いておかないといけないのかな
十一月の林檎もぎをする足元に咲く
たんぽぽと
実った林檎をもぎ取る同じ時期に
今年は 林檎の花が咲いている
全部ではないけれど 全部だったら破滅だけど
....
崩れた崖にしか
射せない陽射しがある
とがった石くれが こぼれ
風に拾われた 影を埋めた
朝焼けを浴びて 土の奥が泡立つ
浮かばなかった あの想いが
花のように上を向いて
踏 ....
雨という予報で
雨合羽を着込んでの
葉取りの作業と
覚悟は決めていたのだが
袖口をカバーしたつもりでも
やがてしみこんでくる雨水
顔に落ちる雫に
少しづつ体温が冷える
まだ こ ....
ひなごおり の よ
しずむつち はしゃいだ
わたりふね にがして
そろりと りょうて
あたたかく ないた
つめにかけた おまもり
しろいくも の ひも
夜杖に狭間梳き
地より柔らかにうねりゆく朝もや
泊められていた火船
砥石の角をたち
白く月の望む腕に
かなえられて昇る
いだいてくれていた
ちからがぬけていく
だれのまえにもでない
ねいろで
いとしさで
ふさいでいてくれていた
もういいよ
めをかくしてくれていた
いじのわるいてが
なきむしのように ....
手をのばせば はしごはゆれて
いたいけな木の棒が
うながすようにみつめる
登りはじめた私の背には
羽と
足は 鳥のようにまがり
くちばしが言葉をなくして
指が忘れていく世界の風
....
ウィンカー点けて
スピードを落とす
助手席から夫を不思議な顔でみる
どうしたの
後ろの車が追い越していく
若いカップル
追い越したいのは越させた方がいい
その言葉に驚いて笑っ ....
ボールペンの中
色づけされた決め事が
力を預けられなければ
生きた証をはしらせられないことと
無関係に沈黙している
トンネルに守られてる
暗闇の声達
キャップをとって
かみへ
....
かぶとの木と呼ばれていた
通学路沿いの
道から少し滑り降りて入る草薮の中の
真ん中がくり抜いたようなくぼみのある木
樹液が蜜のようで 夏にもなると
かぶと虫や ....
火をつけた
裸ではないから あなたは
時の中へ流れて行く
服の重みに
囚われてやしないかなって
灯籠から 灯りをこする爪の音
ぼんやりとあふれてるぬくみに
口をつけて すすって ....
目覚めろと夫が言う
育てた花から種をとり
今年蒔いたものが発芽した
花はいい
はやく お前も目覚めろ
水と陽射しを気にしながら
隣りでいう
と それは
パソコンに向かってる私が
....
寝苦しい夜 はみだした足が
そろりと風を止まらせた
畳の上を這う 小さな羽虫の陰
名札をはずしたつもりになっても
はずれたくない場所がある
どこからもひ ....
腕時計をすると
その下に洞穴ができて
取っ手のないバケツが
ピチョン ときた時のために
埋め込まれている
なげ槍の中に住み込み
解毒剤の研究をしているスルメ
永遠の若さって 日干しね ....
ドラムカンの 外にはみだしてくる
火の勢いに のまれてく
窓から見下ろした 交差点
流し込んだ 健康飲料水
一回 千円のカットだけの看板
マラソンの金メダルのテレビ放送
セルフサー ....
介添えの眠るお天気雨
ふくらませたかかと
眼を覚ませば
占いのためにだけ
花を摘めない人がいる
なくした言葉を入れる
風の器は すぐに壊れ
花の行方に問いたかったのに
ここ ....
なだれゆく 曇天の鱗
きりぎり 虚空にさす枝先
絡めた糸で 傷付けるから
鳥は 近づいてはいけない
どこにもいらない花のように
身を潜めて
散る花の中へおちていく
踏む先に ....
きれた風が コップの中
五つの渦を 見上げている
行きつけの船の舵取りにしか
読めない星雲
人指し指をやめない
子守り歌は
コップのガラスをまわり
砂丘におちていく蝶の
石 ....
早朝の五時から受け付けをする
眼科の玄関の前には
五時前から人が並ぶ
診察は八時からだけど
みんな 少しでもはやく見てもらって
仕事や生活に戻ろうと
ガラス戸が開くのを待っている
....
なをかけ
そらす
わにゆれ
くいる
つつしむ
よるに
こびんの
はおと
すめない
つちに
とべない
かぜに
まつうた
うたう
はなれぬ
はると ....
ひからせや あかく
つれゆく ねごもり
ほうらせ かたせに
おとなう みにおう
きりあめ とかれて
ゆきいろ ぬかるみ
おりこむ みついろ
枕の高さの分だけ
浮いてる孤独
しわのように
なみが 追いかけてくる
向きを変えたいけど
やっと こもってきた熱だから
隙間に入り込む外の風を
力なく拒む
しろくにごる ....
折れた枯れ枝に添ったまま
消えていく水時計を持つ土色の葉
陽射しを後にした地の床への風くぐり
通りの方から聴こえる小声
渓谷は乾き こぼれた石
切れた羽に 埋め込まれ
飛ぶ ....
枠に閉じたら 絵だと
逆らわなかった息づき
飛べたものが 石の中
墜落もできずに
鎮火を待つ間
まだ 蝶でいる
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