すべてのおすすめ
水の中に深く潜ると
魚たちの溜息がきこえてくる
どうせ水のある場所でしか
生きられないいのち
われらの時には
乾いた真実が欠けている
ソレイユ!
ソレイユ!
光は水の中にまで入りこみ
 ....
おまえがほんとうのことを口走る度に
鳥の翼から羽毛がぬけ落ちる
世界はやせ細り 目に見えるものすべてが
絵に描かれたものとして溶けてゆく
たとえば可哀相な妹が
人に知られぬ速度で後退する時
 ....
都市では
すべての生きて動くものはその死の時に
鳥によってついばまれる
そのようにして葬られる
人も 例外ではない
夕陽が昇るように沈み
そのかたわらでくるった金星が
美しくほくそ笑む時 ....
麦色の夕方に
夏は死んだ
その致死量の傷口をさらに広げるため
強い風が吹く
夏の屍骸
それは輝くことのなくなった横断歩道の上に
反射することのなくなった水たまりの中に
横たわっている
 ....
 何ともやっかいな詩人を採り上げてしまったものである。しかし、一度決めたからには、筆を先に進めなければならない。
 入沢康夫は難解な詩人である。とても一筋縄ではいかない。僕のような素人が立ち向かうな ....
さなぎの、笹食べているのを見て
いると暗澹とする。ささ、さあ、
こちらにおいで、さなぎ。どうせ
おまえは動けないのだから、せめ
て、こんな年寄りのところまで、
這いずり回って、混沌のようにや ....
その日の夕方
妻は花束を抱えて帰ってきた
赤 青 黄 白
色とりどりの花の群れ
寝室の棚の上に花瓶を置いて
妻は花をその中に挿した
赤 青 黄 白
色とりどりの花の群れ
部屋の中は美し ....
ふっ、
   ふっ、と、
        ふれてゆく。
静かすぎる夜に、
綿毛の意志を運んでゆく。
日にさらされて、
火にあぶられて、
またもやさえぎられて、油っぽい焦りだ。
ふう。
 ....
追われてゆく、陽の速度に倣って、大気は燃えている。すべての失われた魂を鎮める夏。その高温へと連れて行かれる。靴の紐がほどけている間に、素早く足裏をさらけ出し、女の後ろ髪がほどかれる間に、どうにかいまを ....  いまさらながらだが、まったくおかしな時代になったものだと思う。恐らく多くの人が感じていながら、それでも黙っているのだろう。二十一世紀という現代に生起する現象、人の思惑同士が交差し合い、とんでもなくお .... 夏の暑さがまっすぐに降り注いでくる。この
暑苦しさの中ですべてを腐敗させて、振り返
ることのない心を育ててゆく。流れる汗の臭
いとともに、空気が汚れてゆく。この世の混
沌を測るものがないのなら ....
夜の野を
羊たちは走る
帰るところなく
羊たちは大群となって
夜の腕の下を疾走する
月の微笑に照らされる夜
野の果ては地平線で切断されている

  人はひとり凍えて横たわる
  夜は ....
道の途中
その曲り角の 節目ごとに
石を埋める
浅く
また深く
土を掘って
掘り出されることを予期せずに
宝石のように
ただの石を地に埋める

その上に霜が降りる
あるいは雨が降 ....
今日いる場所も
明日いる場所も
ひとつの裏側
表側としか感じることが出来ない
かもしれない
ひとつの裏側
ここは寒いが
そこでは暑い
君はたしかな表側
同時に君は
ひとつの裏側
 ....
私は眠る
掛け蒲団の左右を身体の下に折りこみ
脚をやや開きぎみにし
両手を身体の脇にぴったりとつけた
直立不動の姿勢で
寝袋にくるまる旅人のように
防腐処理を施され
身体中を布で巻かれた ....
混沌の中に
夜はある
夜の中には数多の息が
凍りついたまま存在していて
人々はその下で
ぶざまな眠りを眠っている
君は
やがて忘れ去られる
それが君の運命である
目的を持たない淋しい ....
道は渋滞で
バスの中は混み合っていて
みんな一日の疲労でうつらうつらしていて
外はもう真っ暗で
バスはなかなか進まなかった

ドアの側に坐って
ぼんやりと前を見ていた
ふと目に留まった ....
宇宙の深淵から
水がひとつぶ
滴り落ちる。 。 。
と、
いのちたちはいっせいに水際に集まり
それぞれに
祈りの言葉をつぶやく
遠い場所で起こった恩寵に
いのちの囁きは共振し
星の瞬 ....
つきのいし.さんの岡部淳太郎さんおすすめリスト(18)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
不在票- 岡部淳太 ...自由詩6*06-4-30
世界の別名- 岡部淳太 ...自由詩33*05-12-19
鳥葬- 岡部淳太 ...自由詩12*05-10-23
夏の最期- 岡部淳太 ...自由詩9*05-9-24
入沢康夫(「現在詩」の始まり)- 岡部淳太 ...散文(批評 ...10*05-9-12
晩夏の蛹- 岡部淳太 ...自由詩12*05-9-5
悲鳴- 岡部淳太 ...自由詩6*05-9-1
夜、ふれてゆく。- 岡部淳太 ...自由詩9*05-8-20
散文的な夏- 岡部淳太 ...自由詩12*05-8-15
異常な時代に抗する言葉- 岡部淳太 ...散文(批評 ...21*05-8-7
棒読みの歌- 岡部淳太 ...自由詩10*05-7-29
走る羊- 岡部淳太 ...自由詩14*05-7-21
石を埋める- 岡部淳太 ...自由詩10*05-7-10
地球の裏側- 岡部淳太 ...自由詩2*05-6-28
夜毎の木乃伊- 岡部淳太 ...自由詩11*05-2-22
忘却- 岡部淳太 ...自由詩6*05-2-2
求めています- 岡部淳太 ...自由詩10*05-1-16
水宇宙- 岡部淳太 ...自由詩6*05-1-13

Home
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する